2012年02月25日

横浜市小机産の白

2010年4月に開催された、さいたま桜草まつり盆栽の展示の画像の中に
横浜市小机産の桜草の白を見つけました。

横浜市小机とは日産スタジアムが在る場所で、
日産スタジアムでは「サクラソウ自生地復活プロジェクト」をつくり、
鶴見川流域の野生種、小机、中山の名のついた桜草を
横浜さくらそう会が協力しながら栽培しています。

私はそれを知ってましたから、横浜市小机産の桜草に白は無いはずなんです。
そこで、横浜さくらそう会の三宅さんに尋ねてみました。
結論から言いますと「横浜には白の記録はいっさいありません。」とのことでした。

「サクラソウ自生地復活プロジェクト」では、小机、中山産以外にも
園芸種などが多く植えられており、筑波大に遺伝子分析を依頼。
結果、白花は小机の赤とは別物で、血統の濃い埼玉上尾産と解ったそうです。
埼玉さくらそう会には昔横浜さくらそう会のSさんが小机の苗を送っており
上尾の白と取り違えた可能性があります。とのことでした。



野生品種の誤りは、『山形』『由利浜』のように、新規に発生しているようです。
『山形白』『由利浜白』まで発生していなかったのは幸いですが、『仙台』は存在しない状況で
例の『仙台白』の信憑性は経緯を公表してもらわない限り判りませんけど、どうなんでしょうかね。  


Posted by さくら at 19:00Comments(0)日本桜草について

2012年02月25日

桜草の園芸書籍

桜草に関する園芸書籍は少なくて、下記の僅か3冊だけ。しかも2冊は2年前あたりで絶版。face07

・鈴鹿冬三著『日本サクラソウ』NHK趣味の園芸:作業12か月.No9 NHK出版 昭和51年5月発行 854円。
・鳥居恒夫著『色分け花図鑑 桜草』学研 2006年2月発行 1500円。
・『世界のプリムラ』誠文堂新光社 2007年3月発行 4200円。



鈴鹿冬三著『日本サクラソウ』と鳥居恒夫著『色分け花図鑑 桜草』は惜しむかな絶版。
鈴鹿冬三著の方は重版を重ねNHK出版ということもあり、探せば書店にある可能性あり。
栽培に関する記述に溢れており、繰り返し読んでますが飽きません。お勧めできる一冊です。

『世界のプリムラ』は資料的要素の本なので、栽培方法など載っておらず、強いてお勧めしません。
絶版か否か不明ですが、高価なこともあり、未だ書店で見かけます。

鳥居恒夫著の記述は欺瞞・偽装に溢れており閉口しますが、
カラー写真満載で、視ていると心が和みます。美しい桜草の写真集として楽しめる本です。
鳥居恒夫著『色分け花図鑑 桜草』は多くの書店で見かけた本でしたが、
出版社が色分け花図鑑シリーズごと絶版にしてしまいました。
古典園芸である桜草の歴史を歪め現代の桜草界に混迷させている悪書なので絶版を望んでいましたが
美しい桜草の写真集が無くなるのは残念です。が、実は未だ入手可能です。
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Blog『いい、おしめりですネ・・・・・・・・』2011年09月08日
色分け花図鑑「桜草」(改訂版)」 
花図鑑 学研が手放したので、絶版は避けられないようですよ。
さくらそう会が総力を挙げ、全部買い取ることを条件に最終版を
作ったそうで、本はすべて会が保管しているそうです。face02
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さくらそう会 総会、交歓会 2012年2月17日
8.書籍改定版制作
学研版 色分け花図鑑「桜草」の絶版を受け、この図譜を続けて普及させるために、
印刷分を会が全部買い取る契約で改定版2000部を製作した。
会員には1冊ずつを送付し、新たな入会者には基本図書として1冊を進呈し、
一般の希望者にも会が直接販売することにした。

限定2000部。
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Posted by さくら at 12:00Comments(0)日本桜草の育て方

2012年02月25日

桜草の育て方.6

【 気候風土の違い 】
日本海側と太平洋側では、気候風土が違います。一番の違いは湿度でしょう。
私は芽吹いてから潅水し始め、9月に入り秋を感じたら潅水しません。自然に任せています。
しかし太平洋側(特に関東地方)は冬場の乾燥が激しいので、冬場も潅水が欠かせないとか。
夏の猛暑は全国同じでしょうけど、熱帯夜は太平洋側が断然多いです。
熱帯夜が続けば、鉢の中の温度も25度以上あることになり、桜草にダメージを与えかねません。
鉢を風通しが良い日陰に移すなり、何らの対策を行うべきでしょう。
それらを踏まえて、鉢を選び、用土を作り、栽培してください。


【 用土 】
赤玉土(小粒)+バーク or 腐葉土=5:5か6:4。
バーク or 腐葉土が多めなのは、夏場に大量に潅水して空気を入れ替え、温度を下げたいので
排水性を高めていることを意識していることと、ドバミミスを入れるから、その餌の意味合いも強い。


【 腐葉と腐葉土 】
園芸店で市販されている完熟腐葉土は、文字通り落葉が土化した腐葉土。
桜草栽培に用いる理由は通気性と通水性を高めるためなので、
土化してない腐葉土=腐葉でありことが理想。
菊栽培などに使われる、葉脈が残って、ざっくり大きいのが良い。
このBlogで紹介した鳥海山で採取され作れた鳥海腐葉土は、「菊用」がお勧め。

福島原発事故の影響で、腐葉土の入手が難しくなり
北海道産が出回るようになったそうですが、寒さに耐えるためか葉が厚く樹脂が多く
今のところ「なんだかな・・・今は良く分らないけど、なんかちがうんだよなあ。」
とのことでした。


【 雑草と共生 】
桜草は、他の植物より早く春一番に開花して、周りの植物が葉を茂らせる前に葉を広げます。
周りの植物が葉を茂らせると、今度は休眠に入り、地中で黙々と根茎に養分を蓄えます。
桜草は周囲の植物と競いあうことなく共生しているのです。
桜草を植えた鉢に雑草が生えても、これといって桜草に害を与えることはありません。
むしろ、雑草が生えることで、葉っぱが日陰を作りますから、鉢の温度上昇を抑え
桜草と雑草の根が絡み合うことで、適度な湿度を得る事にもなります。
雑草の葉の具合をみながら潅水を行うこともできるので、ムキになって雑草を取り除く必要はありません。
(ただ、そんなことを理解してくれる人など周りにいませんので、周囲の目があり、取り除いています。)


【 鉢の中にドバミミズ 】
私は鉢の中にドバミミズを投入して飼っています。4-5号鉢に1匹。5-6号鉢に1-2匹。
鉢から逃げる事無く住み続けてくれ、用土を耕し、通気性と通水性を保ってくれています。
ドバミミズはお勧めです。

腐葉土は肥料ではありません。通水性や通気性を保持させるために用土に混ぜます。
腐葉土を食べたドバミミズの糞は、肥料の役目を担うそうです。
(気のせいかもしれませんがドバミミズが居る鉢には、ナメクジやコガネムシが入り込んで来ない気がします。)


【 鉢慣れ 】
桜草は環境の変化に敏感で、鉢慣れするまで時間が掛かり
数年間も開花しなかったり、繁殖しないケースがあります。
私の品種不明品(仮称三船紫)は2-3年でしたが、
Blog『私の園芸物語 そして 私が生きている証』2011年05月09日の記事には
「大朝日は開花に何年もかかり8年目でやっと花を見る事が出来ました。
 苗は全然増えず、8年経ってやっと4芽です。」
と書かれており、驚きました。桜草栽培には、時には長い目で愛でる必要もあるようです。


【 潅水 】
潅水は朝に1度だけたっぷり潅水しています。
鉢底から流れ出るまで潅水していますが
夏場は鉢の中の空気を入れ替え、用土の温度を下げるイメージで、大量に潅水しています。

プランターなど用土量が多いと乾燥しつらいので、夏場に大量に潅水すると蒸れる要因になる。
という話しも聞きましたが、プランターの側面や底に穴を開けるとか、排水性高い用土にするとか
個々の栽培環境に合わせて、鉢や用土を選び、潅水や肥料を行ってください。


【 肥料 】
桜草栽培に元肥の効果は、あまり感じません。
効果を感じないのは私の与える量が少ないのかとも考え、
2011年から私の中では今までになく大量に与えています。
普段の肥料は液肥です。
ハイポネックスをキャップ1杯を40リットルのバケツに注ぎ、毎日潅水に使っています。
肥料を多く与え過ぎると、新芽は小さく数多く増え、翌年に開花する芽がつかなくなるそうですが、
今のところ、そのような症状はおきていません。
液肥がメインですと、雨が降ると与えても効果が望めないので、今年はIB肥料を置く予定。



【 株分け・植え替え 】
桜草は大変よく増えますから、株分け・植え替えは毎年必ず行います。
1芽毎に分けると、真っすぐな芽が育ち、次年度も作業しやすくなります。
芽分けしないで株のまま植えると、根茎と根が絡み合い、曲がった芽になり、色々面倒になります。
できるだけ1芽毎に分けましょう。

桜草の美を探求され、展示会にも出品されるレベルの愛栽家は、開花芽以外は破棄します。
一般の愛栽家は全部大切に育てようとします。
小さい芽まで取り分けしてまうと、根茎に残る根数が少なくなるときがあるので
その時には無理して取り分けしないで、そのまま植えましょう。開花時期に取り分けるのも一考です。

株分け・植え替えの時期は、休眠に入る11-2月。
根茎の活動が止まり休眠に入るので11-2月の間に行えば良いのですが
芽吹く直前に株分け・植え替えを行うと、古い根茎が腐るので芽分けが楽にできますから
降雪に見舞われない太平洋側では2月が適期。

雪国では、雪解けと同時に芽吹いてしまうので、11-12月に行うしかありません。
雪解けと同時に株分け・植え替えを行うと、地中で細く芽吹いている苗が有るときがあり
そうなると芽を痛め、成育に悪影響を与えてしまうので、3月に入ったら株分け・植え替えをしないこと。

園芸店やさくらそう展から、開花時期に購入してくる事が多いと思います。
桜草は根茎に蓄えた養分で発芽して葉を広げ、開花し、花が終わる頃に新しい白い根が生え始めます。
この新しい白い根が、新しい根茎に養分を蓄えますので、
新しい白い根が生える前なら株分け・植え替えOKです。
なので、寒い時期に1芽毎に分けずに置いて於き、開花時期に芽分けしても問題ありません。

1芽毎に取り分けなくても、株の塊のまま植え付けても大丈夫です。
桜草は1芽が2-3芽以上へ増えます。
それは、株の塊が2-3倍へ広がることを意味しますから、
株の塊のままは、植え付ける鉢の半分以下の大きさにしてください。


【 庄内地方の桜草愛栽家たち 】
庄内地方に自生していた桜草を40-30年以上栽培し続けている方々は、
ほとんどがプランター栽培ですが、植え替えはしていないことが多いです。
「もう何年も植え替えなんてしてないわ。根っこばかりで、土が残っているのかしら。(笑)」
という有様ですが、どうして消滅せず栽培可能かと言いますと、
答えは簡単でして、ドンドン適当に間引くからでした。
葉が重なり合い密集してそうな場所を、話しをしながらブチブチと抜くのでした。
それで育っているのですから、そういう栽培方法もあるんだと感じています。

【 地植えでは育たない 】
桜草を野草だと思い、庭に地植えする人を結構見かけますけど、地植えでは育ちません。
根茎に養分がある2-3年は芽吹いても、消滅するのが目に見えています。
人の都合で適当に植えて育つくらい丈夫なら、自生地が消滅したりしません。

絶対に庭では育たないとは言いません。庭に地植えをされるなら
鉢やプランターで栽培しつつ、増殖した余剰分を庭に移植するようにして、様子を観てください。
庭で育っても増えませんから、鉢やプランター栽培は続けた方が無難です。

故安野悌治先生は、柿の木の下へ植えていましたが、
桜草は農薬に弱いそうで、柿の木へ農薬散布を行わず、除草も行っていませんでした。
ミョウガ畑の中にも植えておられ、こちらは大変増えていました。
考えてみるとミョウガは葦と同じなんですよね。
桜草の開花時期からミョウガは芽を増やし根を伸ばし、
桜草の根茎を押し広げて分断。芽分けをしてくれます。
そのままミョウガは葉を広げ桜草を覆い、桜草は休眠。
ミョウガの葉が地表を覆うので、増し土は不用。
そのまま冬となり春を迎えますが、地表を覆っていたミョウガの葉は丈夫ですが腐り易いので
桜草の芽は容易に地表に顔を出せます。
ミョウガの葉は腐葉土となりミミズも居ますから、土はふかふか。
大滝婆ちゃんはヨコハマスズランの中で育てていました。

庭に桜草を植えるなら、共生させた方が良く育つようです。



【 連作と鉄分 】
桜草の美を探求され、展示会にも出品されるレベルの愛栽家は、毎年新しい土を使いますが
私は使い回しをしています。微塵を取り除き、減った分だけ用土を加えて使っています。
用土を使い回して使っているからでしょう、芽吹いて間もなく葉の色が黄色くなります。
花が終わる頃から液肥を与えると葉の色は回復してきますから、肥料不足のようでもあり
そんなこともありIB肥料を置こうかと。

ネットで調べてみますと、
土に含まれている中量要素や微量要素がなくなり
土液体肥料だけを使っていると中量要素や微量要素の欠乏症となるようなのです。
要は鉄分やマグネシウム不足が原因のようです。
用土を使い回す者には、活力剤の散布も要り用なのかもしれません。
(病気やウイルスなどに感染する危険性がありますから、新しい土を使うのがベストです。)

野菜の肥料にはマグネシウムが多く含まれているので、追肥で使おうか思案中。


桜草の育て方シリーズ、書くの飽きてきた。(^^;
  

Posted by さくら at 06:00Comments(0)日本桜草の育て方