2010年01月18日

今更ですが.5

日本桜草の原種や自生地に興味と関心がある人は、是非これを読んで下さい。
生物多様性モニタリングと情報利用
保全生態学研究室
鷲谷 いづみ

2009年01月19日『日本桜草の本』で紹介済みですが
自生する環境と自生地を知ることで、日本桜草を栽培する参考にもなると思います。face01


サクラソウは地下茎によるクローン成長も行い、クローン成長で増えたそれぞれの株をラメット、
これらの遺伝的に同一なラメットの集まりをジェネットと呼ぶ。
ジェネットは毎年新しいラメットを形成しながら、数十年以上生きる。

故安野悌次先生が提供した庄内紅は、ハプロタイプπであるが、ジェネットは1個だった。
つまりクローンを繰り返して長年生き伸びているに過ぎないのだ。
しかし庄内地方では、全域で広く栽培されているし、
何所(誰)から入手したかも、栽培者から聞き取りしている。
個々を調べれば、ハプロタイプπのジェネットの数は増えるかもしれない。
ひょっとしたらハプロタイプまでも。(^^;  


Posted by さくら at 18:40Comments(0)日本桜草について

2010年01月18日

今更ですが.4

下記は、2010年01月16日『ハプロタイプπ』に書いた文章です。
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『サクラソウの分子遺伝生態学 エコゲノム・プロジェクトの黎明』より
10.サクラソウの日本における種内変異と地理的分野の項。
178ページ掲載 表10-1 供試したサクラソウ野生個体群。
個体群 No.20
個体群名 鶴岡
個体群内のジェネット数 野生絶滅
葉緑体DNA解析したジェネット数 1
180ページ掲載 図10-2(Honjo et al.2004より改図)
庄内地域に20という数字とπが記載されています。
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でもこれ、2010年01月09日『同一の遺伝子型』に書いた、
本城正憲 著『サクラソウ集団における遺伝的多様性の保全 に関する分子生態遺伝学的研究
の内容なんです。

そこには、鶴岡のサクラソウに関しては、
『第3章 葉緑体DNA配列を指標としたサクラソウ野生集団における系統分化の把握』の項32ページに
鶴岡集団、浮間集団、日南植栽集団、高野集団、三良坂B集団については、
各地域の民家の 庭で系統保存されている株から葉を採取した。
山形県の鶴岡集団では、
茅屋根を葺く材料の茅を刈った場所である約50m2の茅谷地にサクラソウが散在していたが、
昭和45年5月の耕地基盤整 備で水田に変わったため、
サクラソウの野生個体は絶滅した(安野悌次氏 私信)。
と記載されていて、2007年05月07日安野悌次先生で紹介した、安野悌次先生の株なのです。



サクラソウが生えている場所には、ミョウガが植えられており、
花が終わる頃にミョウガが芽吹き、初夏にはミョウガの葉の中に没します。
上には柿の葉も生い茂り日陰になる場所です。
秋には枯れたミョウガの葉と落ちた柿の葉が地表を覆うので、増土も要りません。
この環境は、葦原に自生していたという、見たことない環境を想像させますよね。


71ページの『謝辞』を読むと、2009年01月31日横山潤准教授に紹介した横山潤准教授が協力されています。
これらかも、庄内地方には以前サクラソウは自生しており
研究者からも野生種として認知されていたことを、うかがい知ることができます。  


Posted by さくら at 18:38Comments(0)日本桜草について