2007年05月07日

安野悌次先生

5月4日、山谷地区を見て回り、丸岡地区を経て中田地区へ。商店で安野悌次先生の家を尋ねると、直ぐに教えてくれた。「でも今日居るがのー。いつも出歩いてるからの。」とのこと(園芸好きな方は意外とアクティブで、良く外出されています(^^) )。

安野悌次先生のご自宅は直ぐに判りました。だって庭先にピンクの日本桜草が群生していたんですもの。スゲー!!


安野悌次先生


安野悌次先生#8のプランターを持って訪問すると、御本人が居られました。背筋は真っ直ぐで元気に普通に歩かれて登場し、目も耳も良いらしく、歯切れ良く話しをされ、とても90歳には見えません。元教育長ということで、『此処でも学校の先生が日本桜草に関係していた』と改めて思いました。

庭に咲くピンクの日本桜草を見ながら「これは丸岡地区から持ってきたモノですか?」と尋ねると、「違います。これは中田地区のです。」と驚くべきの返事が返ってきました。

安野悌次先生は、葦原を‘ヤズ’と言いましたが、「これはウチのヤズとそこの寺のヤズ、今はもう無くなってますがヤズが在って、そこに咲いていたのを移植したものです。これは話すと盗掘されてしまうので、今まで人に話したことはりませんが、昔は中田地区にも咲いていたんです。」「それこそ昔は板井川から金峰にかけて青龍寺川沿いに群生していたそうです。」と言うではありませんか。まあ驚きました。それほど広域に群生していたんですね。

安野悌次先生は「昭和40年代に突然護岸工事が始まってしまい『おめのヤズさ、今日重機入ったぞ』と言われて、次の日の朝早く、工事始まる前にスコップ一杯分=おたくが持ってきたこのプランターほどの株だけをなんとか掘り出してきて、此処に植えたのが、いま残ってるやつですよ」と言ってました。

更に驚きの発言は続きます。
「旧制中学の同級生で菅原ツネオと佐藤デンサクというのが遊佐に居って、2人とも植物がとても好きで、『白い桜草あるから取りに来い』と言われてたけど、この年になってしまって、つい行きそびれてしまった。」と言うのです。

もうビックリしてしまい「えっ、遊佐町にも日本桜草が自生していたんですか?」「白い日本桜草があると言ったんですか?」と尋ねると「そうでしょうの」とのこと。なんと、遊佐町の日本桜草は自生だったとは・・・。ピンクの日本桜草だけなら怪しいのですが、白まで在ったとは。

安野悌次先生90歳とお逢いして、本当に貴重な話しを聞かせていただきました。庄内地方に日本桜草は自生していた。ピンクと白は庄内の野生種であった。しかも青龍寺川全域が日本桜草の自生地だったとは。我々が思う原風景以上に、自然は雄大でした。帰りは放心状態で、故開高健の「旅は成就した。円は閉じた」というセリフが、頭の中に繰り返し繰り返し浮かんできました。

でも、だからどうした。
自生地が消滅した植物は、植物学的に‘絶滅’であり価値は無く、貴重でもなんでもないのです。それでもみんなに知ってほしい。櫛引町に日本桜草が自生していたことを。本来なら櫛引町の花に日本桜草が指定されてもおかしくなかったことを。そしてみんなが日本桜草の存在を忘却していることを。


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Posted by さくら at 09:46│Comments(3)日本桜草07
この記事へのコメント
おせっかいかも知れませんが安野悌次先生かと・・・近年突然息子さんから旅立たれ大変悲しい思いをなさったはずですが、いつもしゃんとした姿勢で自転車をこがれる姿に逆に励まされています。
Posted by himawari at 2007年05月07日 10:43
himawariさま、
ご指摘くださりありがとうございます。人名を間違えるなんて、大変失礼しました。地名も間違え、恥ずかしい限りです。今後とも宜しくお願いします。
Posted by さくら at 2007年05月07日 15:27
2009年8月12日、お亡くなりになりました。

櫛引町の花として日本桜草を推薦した経緯がある安野先生。
安野先生宅の日本桜草は、「在来に種」として
阿部月山子さんたちへ譲渡され、赤川へ移植されています。
地域のために役立っている事は本望なことでしょう。
「在来に種」として末永く育てられていくことを願っています。

合掌
Posted by さくらさくら at 2009年08月13日 19:08
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