2017年07月28日
メダカの生息地
ですが、メダカそのものが貴重だと思い込んでいる方々が非常に多く、
「メダカの生息地を公表すると乱獲されしてしまう危険性があるので、公表しない!」
というスタンスの方が体勢を占めていました。
NPO鶴岡淡水魚夢童の会の岡部夏雄さんは、
庄内の全ての河川で魚族生息調査を行ない
2000年10月に庄内淡水魚探訪記を発行します。
この本は、庄内に棲息している淡水魚図鑑的な内容になっており、山形県全部の小学校と図書館に献本されました。
岡部さんはその後も魚族生息調査を行ない続け、棲息環境の危うさに気付かれ、生息地を記録した本を出版されます。
岡部さんの調査と資料は日本魚類学会で高く評価されており、
監修の本間義治先生は新潟大学名誉教授で皇族の先生でもあった方です。
消える魚の生活環境
—今、魚たちに一体何が起こっているのか
著者:岡部夏雄
監修:本間義治
ISBN:978-9903472-1-5
定価:9,975円(税込)
発行年月日:2007年3月18日
発行:岡部夏雄
岡部さんは2016年に自費出版第三冊目として写真集を発行します。
「◯◯川で貴重種発見!」とか目先の出来事ではなく、前作同様、過去に今の状況を伝える内容になっています。
おらだのいさん 山形県の森川海 写真集
著者:NPO法人鶴岡淡水魚 夢童(ゆめわらべ)の会代表 岡部夏雄
魚類監修:杉山秀樹(秋田県立大客員教授)
発行:2016年5月14日
定価:7,000円(6,482円+税)
残念ながら今時の方が生態系に関心を持つと、
鳥海ボトルアクアのような愚かで自己顕示欲の塊みたいな人が現れたりするわけですが、
岡部さんが危惧されたように、魚の生息環境は、悪化しています。
その原因の1つとして、稲作における灌漑用水路の管理体制の変化があります。
日本の淡水魚の生息環境の多くは、昔から稲作に寄添り、稲作の用水路の中で成り立ってきました。
しかし、素堀の用水路が三面護岸となり、その施設(用水路)に設定された耐用年数は50年なので、
此処数年で配管水路に取り替える作業が進み、用水路に水が流れなくなってしまいました。
メダカは小川や用水路のような穏やかな流れを好む魚ですが、
流れが無くなり水質が淀んでしまうと、消滅してしまいます。
2007年07月24日『遊佐のメダカ』
2007年07月05日『豊里のメダカ』
2009年10月23日『豊里のメダカ.2』
で紹介した場所は、水が淀みミジンコも発生しなくなり、葦が生い茂り日も当たらず、メダカの生息地は消滅しました。
図鑑ともいえる庄内淡水魚探訪記以外の本を高いお金を出して購入して読んでも、正直面白くないです。
なぜなら具体的なピンポイントでの地名の表記はなされていませんから、現場を訪ねることは叶いませんし、
昔の現状を知らない人が読んでも「そうそう、こうだった」と懐古することもないでしょうからね。
ですが、本の内容は大変貴重で価値あるものです。県立図書館にはあるはずなので、興味ある方は一度読んでみて下さい。