2011年01月19日

vol4. 山原茂.3

浪華さくらそう会の会長である山原茂氏は、自身のBlog『日本の桜草と美術』の中で、
桜草の品種や栽培の歴史に関する貴重な資料を基に推量された持論も掲載されており
その中には、古典園芸である桜草栽培文化の将来を憂う気持ちから
『色分け花図鑑 桜草』の著者である鳥居恒夫氏が世話人代表を努めるさくらそう会への、
義憤あふれる苦言が述べられています。
此処では山原氏のBlog『日本の桜草と美術』に掲載された1ツを紹介したいと思います。
2010年12月26日『桜草の栽培ー栽培品種300種?』より抜粋。
-------------------------------------------------------------------------------
NHKテレビで「趣味の園芸」が放映されていて、そのテキストも出版されている。
その来春2011、1月号にプリムラの特集が組まれている。
その中にわが「サクラソウ」の項もあり、内容が気になるところ。
そこに‘現存する当時の品種を含め、300品種ほどが栽培されています’とある。
このところサクラソウに関する概説では‘栽培品種300種’が合い言葉のように使われているのが目につく。
この300は東京のさくらそう会の認定品種の概数を使ったもののようである。
いやしくも園芸に携わる人々が、特定の団体の認定品種数と桜草界全体の栽培品種数を混同するのはいただけない。
ここには名前による誤解があるのかもしれない。
「さくらそう会」という名前が全国の愛好者の統括団体と見なされて、その数字が一人歩きはじめている。
桜草の現存栽培品種数を確定するのは難しい。およそ数百種とぼかして考えておくのがよろしかろう。
-------------------------------------------------------------------------------
(NHK「趣味の園芸」華麗なるプリムラの世界は、今週末1月23日(日)08:30〜08:55放映)

私も同感です。
鳥居著『色分け花図鑑 桜草』の詐術が施された品種解説文と違って
桜草の品種数が300品種以上であることは、桜草愛好者なら容易に解ることです。
鳥居恒夫氏とさくらそう会が、
『最高の資料である。最もたよりとする基本リスト。』と語る
明治40(1907)年の『櫻草銘鑑』には311品種が掲載。
鈴鹿冬三著「日本さくらそう」によると
122ページ抜粋『昭和12年から、720種に及ぶ品種解説を、実際園芸雑誌に発表されました。』
と記載されています。
戦後昭和20年以降も次々と新花が発表されていますし
加茂花菖蒲園の八重咲き桜草など、新花の最たるもの。
八重咲き桜草だけで、何十品種になるのでしょう。

現在栽培されている品種数は具体的には計りかねることですが
古典園芸の桜草の栽培の歴史と民間のひとつの組織の見解を混同され
軽く捉えてしまっている姿勢に、
鳥居恒夫氏が世話人代表を務めているさくらそう会の問題点を感じます。

約500品種とされている方もおり、こちらが正しい応答でしょう。

vol4. 山原茂.3


糸車、尾久の輝、尾久の光、唐紅、紅春賦(柴田 早春賦)、細雪、紫霞波、式部絞、白篝、
桃花水、鴇の郷、峡田の思い、春の茜、春の微笑、紅偲ぶ、桃目白、雪景色、雪の手紙、瑠璃絞。
などを発表されている宮本米吉氏にしても、
荒川区の取材に対して、他意はないのでしょうけど、軽卒に発言してしまっています。
-----------------------------------------------------------
花と緑のリレー 区民ボランティアの輪
荒川さくらそう会で育てている「さくらそう」とは、日本古来の「さくらそう」のことです。
花屋で見かける桜草は「プリムラ(西洋桜草)」という欧米で鑑賞用に品種改良されたもので、
「さくらそう」とは異なるものです。
現在、環境省の植物レッドデータでは「さくらそう」は、絶滅危惧種に分類されている貴重な植物です。
荒川さくらそう会の代表・宮本米吉さんにお話を伺いました。

さくらそうとの関わりを教えてください。
現在日本さくらそう会が認定している品種は297種あり、
江戸時代からの品種や再発見されたもの、新たに作り出したものなどがあります。
-----------------------------------------------------------
宮本氏の発言の妙は、『日本さくらそう会が認定している品種は297種』という言い回しです。
会が認定している品種数を述べているに過ぎません。
しかしこの『日本さくらそう会』という発言は軽卒です。
冒頭『「さくらそう」とは、日本古来の「さくらそう」のことです。』と断りを入れており
ご本人は『荒川さくらそう会』と名乗っています。
文中では全て「さくらそう」と括弧書で表記されているのに
此処だけ『日本さくらそう会』と発言されれば
一般の読者なら全国の統一された団体であると勘違いしてしまいます。
宮本氏が作為的に発言したとは思えませんが、
諸先輩方のこういう何気ない一言一言が(記録に残り)、
一般社会と桜草愛好者に誤りを植え込み、混乱を招くのです。

宮本米吉氏のことを私は何も知りませんが、
荒川区の要請に応える形で荒川さくらそう会を作り、
毎年苗を提供されているということで、とても優しい方だと推察します。
私が庄内地方で訊ねた桜草栽培者がそうであったように
園芸愛好者は人が良いんですもの。きっとそうに違いありません。
鳥居恒夫氏が世話人代表を努めるさくらそう会の会員の皆さんも、同様なのでしょう。
人が善過ぎて優し過ぎて・・・。
そこに付け込んで、好き勝手やっているのが鳥居恒夫氏だと思えます。

鳥居著『色分け花図鑑 桜草』の52ページ『桜草の品種名』を読みますと、
鳥居氏の心根が見え隠れします。
---------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------
桜草には200年余りにも渡って選び出された園芸品種が300近くも伝えられている。
タネから育った株は少しずつちがいのある個体変異で、これを品種と呼ぶ。
その中から選抜された美しい優良品種が園芸品種で、いわばスターと思えば良い。
スターには芸名があるように、園芸品種にも、その美しさを彷彿とさせれくれる園芸品種名がつけられている。
これは花銘ともいわれ、いわゆる源氏名である。
---------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------
品種名は芸名や源氏名ではありません!
実生で新花を発表した作出者は、我が子に命名するかのように、想いを込めて命名して発表しているのに
鳥居氏は品種名を芸名・源氏名と軽く捉えているから、呆れてしまいます。
鳥居氏には桜草に対して愛情がなく、品物と同じ感覚で捉えているのようです。
だから時代の変化に合わせて品種名を変えても良いと身勝手に考え
他人の意見も聞かず説明も不十分なまま詐術に走り、
品種名の乗っ取りと改名行為を行ってしまうのでしょう。

仮にも図鑑と銘打った書籍の中で品種名を芸名や源氏名だと掲載する著者で
さくらそう会世話人代表である鳥居氏を
さくらそう会の会員の皆さんは、どう思われているのですか?
折角インターネットがあるのですから、広く話し合い
桜草界全体で共通の認識を共有出来たら、桜草界の未来も明るくなれると願っています。


同じカテゴリー(日本桜草について)の記事画像
桜草 千代田 異名同種
山原茂氏追悼 浪華さくらそう会誌50号
サンカヨウ 桜草に似てる!?
桜草 庄内白満開
桜草 古典から創作園芸へ
「青葉の光」は「青葉町の光」
同じカテゴリー(日本桜草について)の記事
 桜草 千代田 異名同種 (2019-02-08 00:01)
 山原茂氏追悼 浪華さくらそう会誌50号 (2019-02-07 00:01)
 浪華さくらそう会 山原会長死去 (2018-08-09 10:46)
 サンカヨウ 桜草に似てる!? (2018-05-19 12:00)
 桜草 庄内白満開 (2018-05-19 04:00)
 桜草 古典から創作園芸へ (2017-04-08 17:00)

上の画像に書かれている文字を入力して下さい
 
<ご注意>
書き込まれた内容は公開され、ブログの持ち主だけが削除できます。