2007年07月05日
小牧川でホタル?
西通川も排水路なのに川と扱われ、小牧川は山形県で一番汚い川と言われてきました。元もとが排水路なんだから、汚くて当たり前なんですが、汚いという基準が、生物化学的酸素要求量=BODです。各橋には、川の規模に不釣り合いな立派なプレートが掲げられ、‘小牧川’を強調し印象強いものにしています。
生物化学的酸素要求量=BODとは『水中の有機物が微生物の働きによって分解されるのに要した酸素の量で示した水質の指標』で、数値が高いほど汚れているとされていますが、小牧川はBODが高くて当然です。だって酸素が元もと少ないんだもの。
小牧川は、コンクリート三面護岸張りされた農業用水路の水が、庄内平野を流れ下り集まってできた排水路です。長い距離、陽に照らされて温められながら、のぺ〜っと流れてきては、水が酸素に溶け込む場所が無いのです。ちなみに、山形県で一番きれいな川と言われているのが狩川町の立谷沢川です。月山北斜面を源に、冷たい水が激しい渓谷を流れることで、酸素をたくさん含んだ水です。冷たい激流に生き物は少なく、酸素は低温に多く溶け込むので、酸素量は豊富。ゆえに山形県一綺麗な川というだけのことなんです。
流れは雪代で白濁し、水の冷たさもあり立谷沢川に生息する生物は僅かです。山形県一綺麗な川と言われても、『え〜、此処が?!』と、実感がないのが現状です。小牧川は、決して汚染された汚い川ではないのです。
行政は、‘川’と呼ばれるモノに優越(順位)を付けて公表して、地元に美化意識を植え付け、利用しているだけなんです。水害を理由にダムと護岸工事を押し進めるのと、同じですよ。
そんな小牧川という水路を、官民あげてホタルを甦らせる運動を行っています。ラジオやテレビなど、マスコミも美化美談として、エコの代表見たく取り上げています。元もと庄内平野中にホタルはいたでしょうけど、小牧川は、ホタルの生息に適した環境ではありません。汚れた水路を川と称し、生息に適してない場所を生息地にするというのは、如何なものでしょう。
山形県レッドデーターブック作成にも協力された県希少野生生物調査検討委員で月光川の魚出版会の鈴木康之さんは小牧川を調査して、「魚の種類が豊富で驚いた」そうですが、最上川から流入した水が最後に集まるのが小牧川なんですから、種類が豊富で当然のことです。余目町家根合地区に保全池を造ったのは、流入した魚を守るためなんですから。
本当に魚を守るなら、日本海病院脇の分水路から小牧川へ魚を流入させないことです。日本海病院脇を通れば最上川へ戻れますが、小牧川へ流れ込むと酒田港(海)へ出てしまうからです。隣りは最上川ですが、1km以上もある南防波堤を回って最上川へ戻れる小魚は、いるでしょうか。ホタルのように市民を楽しませることはできませんが、鈴木康之さんは「日本中どこの河川でも生態系は貧弱になる一方だ。小牧川のように生態系が復活しつつある事例は珍しい」と自身で語ってらっしゃるなら、何かにと新しく作り出すよりも、小牧川を流れ下っていく魚を守ることも、考えてほしいものです。
ホタルの餌となるカワニナを放流したとしても、小牧川にはたくさんの鯉が生息しているので、カワニナは喰われれてしまいます。ホタルの幼虫の餌が無くなるだけではなく、幼虫そのものが喰われてしまうでしょうにね。
遅ればせながら完読させてもらいました。
「環境」といえば、「何でも通る」ということに対して見直し機運はあるようですが、
[さくら]さんの文章を読んでいると、「もうちょっと真剣に取り組んで」と言いたくなる気持ちが
とてもよく伝わってきます。