2010年01月17日
今更ですが.3
本城正憲 著『サクラソウ集団における遺伝的多様性の保全 に関する分子生態遺伝学的研究』で
全8マイクロサテライト遺伝子座において同一の遺伝子型を示した=遺伝的に非常に近い関係
と知り、花の画像を並べて見比べてみたのですが、随分違ったので驚きました。
庄内の野生種の白=仮称“庄内白”は、他所の野生種と違って、園芸品種に近いイメージがあります。
花の画像を並べて見比べるだけでも、遺伝的に非常に近い関係にあるのではないかと思ってしまいます。
日本桜草の花の写真を撮るのは難しくて、見た目通りの色合いが出し辛いのですが
くまさんのHP 『くまさんの庭』の‘薄蛇の目’(うすじゃのめ)のサイトを見た時には、
“庄内白”に似ていたのでドキ!っとしました。
花の写真だけみるとソックリなんですが、全体を観るとやはり違うのが判ります。

“夢千代”も似てるんですよねえ。情報が無いだけに自分で入手して、育てて見比べてみたいです。
“庄内白”に似ていると思い、最近ドキ!っとした品種が“白鈴”。↓
(最初の1枚にはドキ!っとしたけど、違いました。)
“白鈴”の画像が他にもないか検索していくと、
浪華さくらそう会のHPの『私の実生法』という項に“白鈴”が載っており
なんと山原氏が生み出した作であることが判明。
近年新しく作られた品種と知り驚きました。しかも親が“鹿島”と知り2度ビックリです。
他にも桃園蜃気楼・流れ星・空穂猿・群千鳥まで山原氏が生み出した作だったとは。
個々を見比べたら“庄内白”と“白鈴”は似ていますが、
親が“鹿島”だとすると遺伝的に非常に近い関係にあるとは思えなくなりました。
これも山原氏が記録を残し公表してくれていたから判った事で、
有り難いことですし、作出する人はこうあってほしいものです。
作り出された“白鈴”を『庄内白に似ている。』と思ってしまった分けですが
山原氏は『私の実生法』の中で、下記のように述べています。
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私が一番最初に選んだ実生親は「鹿島」です。
中型の花ですが、さっぱりとして小粋な雰囲気を持った明治時代の作です。
この花の弁先が房のようになればいいなと思ったことでした。
それが、二・三百本もできた苗の内、ただ1本に房が出現しました。
これが「桃園蜃気楼」なのです。親と良く似たものが多いなかに、これが一番目立っていました。
この姉妹に「流れ星」「金田の夕」が生まれています。
このほかに「白鈴」「竜晴」といった桜弁に先祖返りしたものも出ました。
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“白鈴”は桜弁に先祖返りしたものだそうで、
“庄内白”は原種なのかな。と嬉しく感じました。
最後に、山原氏が【鹿島】を親に作出した品種たちの花の画像を集めてみました。
特徴ある個性的な花ですが、“鹿島”を親にもつ、遺伝的に非常に近い関係なんですよね。
【 流れ星 】(1979年播種の「鹿島」の実生)
くまさんのBlog草花好きのひとりごと2007-05-12 『さくらそう‘流れ星’』に山原氏ご本人がコメントをされてました。
【 空穂猿 】(「流れ星」から空穂猿、群千鳥)
Blog『趣味でさくらそう』2009/3/23より。
空穂猿はとても面白い花容で目を引きますが、かなり肥培しないと花数が増えにくい感じです。
【 群千鳥 】(「流れ星」から空穂猿、群千鳥)
画像は良く見かけていた気がしたけど、探すと無いのね。
実物を見たことないから何とも言えないけど、気のせいか違って見えるし。
浪華さくらそう会HP『17年度会誌紹介』の中で山原氏が
「同名二種…群千鳥」と書いてました。
浪華さくらそう会HPのコンテンツ『壁紙』の中に群千鳥の画像もありました。↓
【 桃園蜃気楼 】トウエンシンキロウ 白底紫紅 紫紅 深かがり 浅抱え 大
【 桃園蜃気楼 】ではありません。【 桃園 】と【 蜃気楼 】です。↓
「白鈴」は平凡な花なのですが、花容が豊かで見飽きることがありません。普及させたいものの一つです。
「私の実生法」の会誌版にはカラーの系統図(写真)が出ています。なんでしたら、コピーをお送りしますので、私のメールアドレスに住所などを送って下さい。
yamaharanookina@livedoor.com
コメントいただきありがとうございます。
さくらそうは古典園芸の一つであり『江戸の花』と言われれば、素直に『そうなんだ』と信じます。しかし、徐々に疑問が生じ・・・。『今更ながら.』シリーズは(浪華さくらそう会と山原さんをネタに) まだまだ続きます。(^^)
