2011年10月02日

生態系崩壊の予兆.1

山形県は自然豊かな処とされているが、
その豊かな自然を支えてきたのが山形県の母なる河、最上川である。
最上川の滔々たる大河の流れは、まるで山形県を支える1本の太い大樹の如くである。
大河の流れは幾年も変わることはないと感じていたが、
川の中では生態系が劇的に悪化しているようだ。

最上川の上流内陸地方のダム湖や沼には
ブラックバスとブルーギル、スモールマウスバスが、バサーと呼ばれるバス釣り愛好者により密放流され生息している。
バサーは、自宅の近所でも手軽にバス釣りを楽しみたいがために密放流を繰り返し、未だに生息地を拡散させている。
ブラックバスとブルーギルは湖沼から最上川へ流出し、農業用幹線水路を伝って最上地方の溜め池などにも流入した。
最上地方の溜め池で繁殖し、鮏川へ流出し最上川へ。
そして庄内地方にもバスが入って来た。

当初はバサーに因る密放流だった。
2001年4月に鶴岡市に慶應義塾大学鶴岡タウンキャンパスが開校するが、
2001年3月には、キャンパス内の池を30cm以上もある大きなブラックバスが泳いでいたほどである。
その後は2007年07月06日『新井田川の外来魚』で紹介したように
最上川からの取水とともに灌漑用水路に流入して、ブラックバスとブルーギルが拡散した。


しかし、幸いにもブラックバスとブルーギルは爆発的に繁殖することはなかった。
それは山形県の気候風土と豊かな自然が、増殖を抑えてくれているからだと推察する。
ブラックバスの産卵期は春だが、春は雪解け水で最上川の水温は低い。
農繁期になれば最上川の水は灌漑用水路に取水され、水位が下がる。雨が降れば増水する。
ブラックバスとブルーギルは、川より湖沼を好むので、急激な水位変動は生息環境としては厳しいと思える。
また最上川には鯉やウグイといった在来魚が多く生息しているので、
ブラックバスとブルーギルの卵や稚魚を食べて繁殖を抑えている気がした。
だから今のうちに生息地である湖沼から駆除していけば、在来種と生態系を保全できるのではないかと考えてきたが、

ブルーギルが此処まで大量に繁殖してしまっては、もはや手遅れかもしれない・・・。

  

タグ :環境

Posted by さくら at 19:00Comments(6)その他11