2010年01月22日

今更ですが.7

本城正憲 著『サクラソウ集団における遺伝的多様性の保全 に関する分子生態遺伝学的研究
の133ページに載っている図15
『Statistical Parsimony法により構築された葉緑体DNAハプロタイプの系統ネットワーク』
に品種名を記入して作った系統図は『今更ですが.6』で紹介済みですが、
品種名を記入する際には、下記サイトを参考にしました。
筑波大学で行われている食と緑のマイスター育成講座の、
ガーデニングマイスタープログラムの課題テーマとして作成された『桜草の世界』から
サクラソウ127園芸品種の葉緑体DNA型(ハプロタイプ)、倍数性、花柱型』です。


『サクラソウ127園芸品種の葉緑体DNA型(ハプロタイプ)、倍数性、花柱型』
を見易くハプロタイプ別に並べ替えたのが下記です。
(ブラウザーで見え方が変わってしまい、行間がズレて、乱れて見える時もあるようです。)
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表サクラソウ127園芸品種の葉緑体DNA型(ハプロタイプ)、倍数性、花柱型
品種名 ハプロタイプ 倍数性 花柱型 作出年代 作出者 『品種識別、親子関係、由来に関する情報』

ハプロタイプ γ
萩の上風  長花柱花 ?
銀世界   長花柱花 江戸中期 (寛政~文化)
高砂染   長花柱花 江戸中期(寛政~文化) 「綾千鳥」と同品
薫る花風  長花柱花 江戸後期 (天保)
化粧の舞  長花柱花 江戸後期 「霞の衣」と同品
甘泉殿   長花柱花 江戸後期 「漢泉殿」とも書く。「清見潟」は同品
所縁の袖  長花柱花 江戸後期 「強勇競」「雲井鶴」現存品と同品
手拍子   長花柱花 江戸後期 「雨後の月」現存品と同。野生の白花に近い。
三国紅   長花柱花 江戸後期 野生品に近い
槇の尾   長花柱花 江戸後期?
九十九獅子 長花柱花 江戸後期
由加里の袂 長花柱花 明治?
桃園    長花柱花 明治?
夕陽紅   長花柱花 大正7年頃 田村景福
上絞    長花柱花 昭和初年 大鐘あぐり 「土佐の海」現存品は同品
春告鳥   長花柱花 昭和57年認定 尾崎康一
牡丹獅子  短花柱花 江戸後期 「乙女の袖」現存品と同品
銀孔雀   短花柱花 明治 「露の衣」現存品と同品
枝珊瑚   短花柱花 江戸後期
雨中の桜  短花柱花 明治
若藤    短花柱花 明治?
四季の峰  短花柱花 大正?
藤の里   短花柱花 昭和30年頃 尾崎哲之助
山下白雨  短花柱花 昭和58年 鳥居恒夫
朱鷺の雛  等花柱花 江戸後期
誰が袖   等花柱花 明治? 「産衣」と同品
衣通姫   短花柱花 明治?
小笹の雪  等花柱花 大正5年頃 永井誠也
京鹿子   2倍体 長花柱花 ?
香炉峰   2倍体 長花柱花 江戸(文化) 表裏とも純白つかみ垂咲大輪やや狂咲、越路の雪と同じ可能性
紫雲竜   2倍体 長花柱花 江戸後期 (天保) 「紫雲」「紫雲山」は同品
青海原   2倍体 長花柱花 江戸後期 (天保)
越路の雪  2倍体 長花柱花 江戸後期 「田子の浦」「香炉峰」現存品はまずこれ。「白珠」の親
十二単   2倍体 長花柱花 江戸後期 「嵩山」「花の宴」と同品
三保の古事 2倍体 長花柱花 江戸後期 「天女」の親。交配親に多用
獅子奮迅  2倍体 長花柱花 江戸後期 稀に獅子咲きでない花あり
芙蓉    2倍体 長花柱花 江戸後期
旭鶴    2倍体 長花柱花 明治 「朝日鶴」とは別、「入日の灘」と同じ可能性
陽炎    2倍体 長花柱花 明治? 「明石潟」「明月」現存品と同品
雪の肌   2倍体 長花柱花 明治?
綾波    2倍体 長花柱花 明治
富士越   2倍体 長花柱花 明治 柴山政愛
三田自慢  2倍体 長花柱花 大正3年頃 伊集院兼知
瑤台の夢  2倍体 長花柱花 大正7年頃 田村景福
紫宸殿   2倍体 長花柱花 昭和57年 中村長次郎 「手中の玉」の実生
高根の雪  2倍体 長花柱花 昭和57年 高木勇
西王母   2倍体 短花柱花 江戸後期 (天保)
一念力   2倍体 短花柱花 江戸後期?
通小町   2倍体 短花柱花 江戸後期
天が下   2倍体 短花柱花 明治
人丸    2倍体 短花柱花 明治後期 溝口正直
初桜    2倍体 短花柱花 昭和30年 高木勇 自然に結実
春裳    2倍体 短花柱花 昭和56年 峰岸優
白鷹    2倍体 短花柱花 昭和57年
唐縮緬   2倍体 等花柱花 江戸後期
初姿    2倍体 等花柱花 昭和30年 高木勇 昭和20年以降にできた実生新花第1号。自然に結実。
汐煙    3倍体 長花柱花 
白珠    3倍体 長花柱花 昭和37年 松木俊一 「越路の雪」の実生
獅子頭   3倍体 短花柱花 江戸後期 「紫雲の重」と同品
天女    3倍体 短花柱花 昭和57年 中村長次郎 「三保の古事」の実生
神風    4倍体 短花柱花 明治 荒井与左衛門 「西王母」の自然4倍体

ハプロタイプ E
臥竜梅  長花柱花 江戸中期 (寛政~文化)「神代冠」に似る
薄蛇の目 長花柱花 江戸後期? 野性的
白兎   長花柱花 山内勝貞
吹上桜  長花柱花 昭和初年 鈴鹿義一 改良親としての評価高い
興亜の春 長花柱花 昭和15年頃 小石川植物園 元の名は「ウラルの春」
青葉の笛 2倍体 長花柱花 江戸中期? 野生種に近い
残雪   2倍体 長花柱花 明治? 丸弁で欠刻がなくサクラソウらしくない
朝霧   2倍体 長花柱花 大正
匂う梅  2倍体 短花柱花 江戸中期 (寛政~文化)野性的。梅型絞、「源氏鏡」現存品と同品
駅路の鈴 3倍体 長花柱花 江戸中期 (寛政~文化) 最も古い部類。野性的。

ハプロタイプ β
霞の衣 長花柱花 江戸後期 「蝶遊」「化粧の舞」現存品と同品
鞍馬  長花柱花 ?  自然によく結実する
花孔雀 長花柱花 大正 田村景福 「手中の玉」と同じ可能性
艶姿  長花柱花 昭和初年 鈴鹿義一
無礼講 短花柱花 昭和57年 「南京絞」とも呼ばれる
赤蜻蛉 2倍体 短花柱花 明治?
折紙付 2倍体 長花柱花 昭和初期 池田喜兵衛 「遠山霞」とも呼ばれる
風車  2倍体 長花柱花 昭和10年頃 大鐘あぐり
玉紅梅 2倍体 長花柱花 江戸後期
北斗星 2倍体 短花柱花 昭和10年頃
瑠璃殿 2倍体 短花柱花 江戸後期 「還城楽」現存品と同品

ハプロタイプ H
蛇の目傘 長花柱花 江戸中期 (寛政~文化)
千鳥貝 長花柱花 江戸後期
妙智力 長花柱花 江戸後期
夕栄  長花柱花 江戸後期 野性的、段咲きになりやすい
飛竜  長花柱花 江戸後期 「錦葉集」に同品
錦葉集 長花柱花 江戸後期 「飛竜」現存品と同品
花大将 長花柱花 江戸後期 「木枯」の紅花品;易変因子による花色変異(絞り、縞)のうち紅一 色のもの
母の愛 長花柱花 大正12年頃 永井誠也
母の恵 長花柱花 昭和10年頃
墨田の花火 長花柱花 昭和初年 戸田康保 「戦勝」と実生兄弟
前代未聞 2倍体 短花柱花 江戸後期
松の雪 2倍体 長花柱花 江戸後期 (天保)
万才楽 2倍体 長花柱花 ?
蜃気楼 2倍体 長花柱花 ?  昭和57年
朝日  2倍体 長花柱花 明治? 伊藤重兵衛 濃紅かがり弁平咲き
玉珊瑚 2倍体 短花柱花 明治?
紅女王 2倍体 短花柱花 明治20年頃 荒井与左衛門
羅生門 2倍体 短花柱花 江戸後期? 「墨染衣」現存品、「墨絵の竜」と同品
白鷲  3倍体 長花柱花 江戸後期
鈴の音 3倍体 長花柱花 江戸後期 「玉宝山」「銀月の名」現存品と同品
目白台 3倍体 短花柱花 昭和2年頃  戸田康保 他種との交雑品とも言われるがその可能性は低い
緋の重 4倍体 短花柱花 昭和57年 塚越豊 「緋の袴」から変化

ハプロタイプ P
旭の袂 長花柱花 江戸中期 (寛政~文化) 「王昭君」現存品と同
舞扇  長花柱花 江戸後期 古い記録では「舞扇子」と記載
鋸峯  長花柱花 大正?
小桜源氏 短花柱花 江戸中期(寛政~文化)  野性的
窓の梅 等花柱花 昭和38年 尾崎康一
梅ヶ枝 2倍体 長花柱花 江戸後期
寿   2倍体 長花柱花 ?
春湖  2倍体 長花柱花 大正13年  西田信常
戦勝  2倍体 長花柱花 昭和初年 戸田康保 「墨田の花火」と実生兄弟

ハプロタイプ G
六玉川  長花柱花 江戸後期
岩戸神楽 長花柱花 江戸後期 「一の谷」は同品
喰裂紙  2倍体 長花柱花 江戸後期
五大州  2倍体 長花柱花 明治
飛燕   2倍体 長花柱花 明治?
美女の舞 2倍体 長花柱花 大正末期 鈴鹿義一
国の光  2倍体 長花柱花 昭和初期 大鐘あぐり
隠れ蓑  3倍体 短花柱花 江戸後期 「嵐山」「嵯峨の春」「雨竜」と同品

ハプロタイプ α
連鶴   短花柱花 明治?
絞竜田  2倍体 長花柱花 江戸後期 絞り、縞が安定せず紅色無地のものを「竜田の夕」と呼ぶ
南京小桜 2倍体 短花柱花 江戸中期 (享保)  最も古い、野性的 。

ハプロタイプ A 大須磨 2倍体 短花柱花  江戸後期
ハプロタイプ δ 秋の装 短花柱花 江戸後期
ハプロタイプ I  雪月花 短花柱花 江戸後期
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『サクラソウ集団における遺伝的多様性の保全 に関する分子生態遺伝学的研究』と
『サクラソウ127園芸品種の葉緑体DNA型(ハプロタイプ)、倍数性、花柱型』とも
参考文献は同じで、
『倍数性は山口(1981)による。』
『作出年代、作出者、品種判別や親子関係、由来に関する情報は、
 鈴鹿(1976)および鳥居(1985)に基づく。』
となっています。

山口聡(1981)『園芸植物の細胞遺伝学III』染色体II21-22,615-621
鳥居恒夫(1985)『さくらそう』日本テレビ,東京
鈴鹿冬三(1976)『日本サクラソウ』日本放送出版協会

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