2017年08月23日

外来種の放流

山形県米沢市に事務所を構える県南漁協は、最上川源流域を管轄としています。
米沢市周辺は山に覆われ、温泉なども多く、観光産業に力を入れている地域です。
そこで県南漁協はこの夏、夏休みの帰省客や観光客にも釣りを楽しんで貰おうと考え、
8月8日に26kgのイワナの成魚放流を行ないました。
(1尾当たりの重さや全長を記録していないので、放流尾数は不明とのこと)

地域振興に合わせた放流タイミングは、広く人々を楽しませたでしょうから、良い発案だと思います。
ところが、放流するイワナの確保がままならなかったそうです。
地元養殖場ではイワナは6月に早々に出荷してしまっており、個体を確保できず、
今回の放流個体は福島県吾妻地方の養魚場にお願いして、なんとか都合をつけてもらった「イワナ」だそうです。
しかし、下記画像は釣具店自然満喫屋の釣果画像ですが、
これは「イワナ」ではなく外来種の「カワマス=ブルックトラウト」です。

秋田県では、
明治初期に水産業の一環としてニジマスを仕入れようとしましたが高価で入手できず、
代りにカワマス=ブルックトラウトを仕入れて養殖を始めますが、
在来種のイワナとの交雑を危惧して、カワマス=ブルックトラウトの飼育と放流を禁止します。明治時代に!
そういう危険な魚種なのです。

外来種の放流


外来種のカワマスと在来種のイワナを交配させると、成長が早まり、大きく育ち、短期間で出荷することできます。
そのため養殖場のイワナはほとんどが交雑種になります。当然放流されるイワナも交雑種になるのですが、
今回のこれは、交配させるために飼育していたカワマスの親魚を、養殖場が処分するために放出(出荷)したのでしょう。
養殖場で30cm以上に育った魚は塩焼き用にも使えませんし、
受精させるならもっと若い個体で良く、餌代がかさむだけです。
県南漁協からの今回の依頼は、渡りに船だったことでしょう。
県南漁協は「イワナ」を無事に仕入れることができた(たぶん安値で)。しかも良型。
吾妻地方の養殖業者は、在庫をさばけた。
釣り人は30cmを越す「イワナ」を釣って大喜び。
ここに win win な関係が完成したわけです。

私は山形県でカワマス=ブルックトラウトを養殖している業者に心当たりがありませんでしたから、
県南漁協へ問い合わせたところ、福島県吾妻地方の養殖業者から仕入れたことを教えてくれました。
県南漁協は仕入れたのは「イワナ」であって、カワマス=ブルックトラウトであることに気付けなかったようです。
今後の放流には留意したい旨を語ってくれました。
普段釣りをされない夏休みの帰省客や観光客向けの放流であるなら、
無理して「イワナ」を放流せずとも、在来のイワナと交雑しない「ニジマス」で十分ではないかと考えます。
何でも良いから食べられる大きな魚が釣れて「お客さま」が満足すれば良いだけなんですから。


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