2009年01月20日

釣人と園芸家

日本には、メダカは一種しかいないので、メダカで良いはずですが、
観賞目的や遺伝子組み換えで作られた個体がたくさん出回るようになり、
仕方なく日本在来種=野生のメダカを黒メダカと呼ぶようになりました。
また、ホームセンターやペットショップでも
ヒメダカやタガヤシをメダカと表記するの止め、
正しい品種を表記するようになりました。

タナゴという淡水の魚がいます。
学術上の分類
目 : コイ目 Cypriniformes
科 : コイ科 Cyprinidae
亜科 : タナゴ亜科
Acheilognathinae
属 : タナゴ属 Acheilognathus
種 : タナゴ A. melanogaster
学名
Acheilognathus melanogaster Bleeker, 1860
和名
タナゴ

日本桜草(サクラソウ)の学術上の分類
目 : サクラソウ目 Primulales
科 : サクラソウ科 Primulaceae
属 : サクラソウ属 Primula
種 : サクラソウ P. sieboldii
学名
Primula sieboldii
和名
サクラソウ
英名
Primrose

園芸愛好家は、高山植物でさえ、一切合切サクラソウと呼び表記していますが、
淡水魚が好きな者は、タナゴが鯉の仲間と知っていても、鯉と呼ぶ人はいません。
また、淡水に生息する日本産タナゴ類16種の1種に“タナゴ”という魚がいて
「タナゴとは総称として使われている」ということも理解しています。

日本の河川と湖沼では、外国からの移入種タイリクバラナタゴが生息圏を席巻し
さらにオオタナゴが生息圏を拡大しています。
海には海タナゴという魚がいますが、こちらはスズキ目ベラ亜目ウミタナゴ科。
園芸店の策略におちいった園芸愛好家は、
○○サクラソウと、最後にサクラソウと付けば全てサクラソウと信じているようですが
釣り人は、海タナゴは全く別の魚であることを理解した上で、海タナゴと呼んでいます。
園芸愛好家はプリムラ、マラコイデス、パンジー、ビオラ、クリンソウ、
外国産からその他高山植物まで、とにかく最後にサクラソウとつけば全部がサクラソウ。
タナゴのサイトに海タナゴまで紹介しているような違和感を禁じえません。

渓流に生息する岩魚も然り。
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フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
イワナ(岩魚)は、サケ目 サケ科 イワナ属の魚。分類上は、
イワナ属のうちの1種にイワナという和名がつけられているが、
近縁種のオショロコマも含めて広義のイワナとして扱われることが多い。
本稿ではイワナ、オショロコマを含むイワナ属の魚を総称して、イワナ類と呼ぶ。
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しかし、釣り人の解釈は違う。岩魚は岩魚であり、養殖岩魚も岩魚です。
でも、アメマスやオショロコマ、ブルックトラウトは、岩魚とは違います。
「岩魚釣り」といって、それらを釣ることはありません。
紋様も違いますし、生息地や釣れる場所が違うので、
「アメマス釣り」「オショロコマ釣り」「ブルックトラウトを釣る」
と、分けて発言&表記します。
なので釣り人のBlogで、岩魚の写真として、
アメマスやオショロコマ、ブルックトラウトを紹介することは考えられません。

同じく渓流に生息するヤマメとアマゴの違いは朱点の有無だけです。
たったそれだけのことですが、
釣り人には絶対に「同類扱いは有り得ない!」大きな違いになっています。

釣人と園芸家


ニュース 2005.3.7 「お礼のサクラソウ開花」
大和市下和田の市立渋谷中学校で、救援物資のお礼として新潟の中学から届けられたサクラソウが開花した。生徒有志17人が「育て隊」を結成、昨年暮れから丹精を込めてきたもので、10日に行われる卒業式でステージに飾ることにしている
http://www.shonan-news.net/news/615/news03.htm
[PDF] 2007年3月9日 新潟県中越地震被災地から贈られたサクラソウに見送られ ...
新潟県中越地震被災地から贈られたサクラソウに見送られて卒業.
http://www.city.yamato.lg.jp/web/content/000012007.pdf

申し訳ないけど、サクラソウではありません。
ヒメダカをメダカ。タイリバラタナゴと海タナゴをタナゴと教えるような誤ちであり、
これでは生徒が可哀想。

園芸愛好家の多くの方が、実はプリムラ=西洋桜草だと判っています。
ならば、西洋桜草と呼ぶのを止めませんか。
西洋桜草と呼称が無くなれば日本桜草も無くなり、桜草へ戻るんです。
日本桜草愛好者も同様に声を挙げ是正を求め、
園芸業界と園芸店は、自浄努力してほしいものです。

こんな記事を書いた上は、これからは桜草と記載していきたい処ですが、
プリムラやマラコイデス、パンジーやビオラと混同されるのは嫌なので、
不本意ではありますが、今後も日本桜草と表記していく所存です。


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このBlogの最初の方に書きましたが、
初めての小学校のクラブ活動で、菊栽培をメインとした園芸部を選び、
クラブ担当だった教頭先生から「桜草だよ」と芽分けされた1株をもらったことが
桜草との出逢いになります。
初めて見る桜草の花は、可憐で清楚で、一発で魅せられてしまいます。
桜草は野草ですから、子供心に「大人になったら採りに行くぞ!」と誓います。

20年ほど過ぎた或る日、まったく桜草を見ていないことに気づきました。
登山や山菜・キノコ採り、渓流釣りもするのに、
一度も見た事も無いし、話題になったこともないのです。

いい大人が、というか若者が、例え知り合いとはいえ
植木(園芸)のことを人に訊ねることは恥ずかしく、
まして桜草のことを訊ねるには、勇気がいることでしたが、
訊ねる機会がある時に、適当に訊ねるようになりました。

「桜草って知ってますか?」と植木(園芸)が好きな人に訊ねると
「ああ、知ってるよ。ウチに在るけど(なにお前、知らないの?)。」
という返答を、異口同音に皆さんするのです。
意外でした。こんなにも早く巡り会えるとは、嬉しい誤算でした。

ところが、実際にお邪魔して見せてもらうと、
プリムラやマラコイデス、パンジーやビオラで、クリンソウの時もありました。
「これと違いますよ。これ桜草じゃありません!」と言うと
「桜草だよ。園芸店で桜草と言って売っているんだぞ。」と言います。
植木(園芸)が好きな方の言葉に、当時の私は反論する知識はありませんでした。
しかし懸命に食い下がりました。

「でも、違います。これじゃない桜草です。」
「これじゃない桜草は知らないなあ。どういう花だい?」
「春に咲く、白くて小さくて可憐で清楚な花です。」
「小さいなら雪割草じゃないのか?」「春に咲くぞ。」

『雪割草???』
植木(園芸)が趣味じゃない私にはよく判りません。
図鑑を見れば似てなくはないのですが、葉の茂りが違います。
「違うと思います。もっと葉が茂って群生していますから。」

そこまで食い下がってしまうと、相手の方も閉口されてしまいます。
相手の方だって知らないのに、親切に相談に乗ってくれているのに
全部否定してしまうのですから、面白い分けないですよね。(^^;

そういう、もやもやした時代に
インターネットは急速に進歩していきます。
或る時、桜草をネット検索してみることを思いつきます。

『桜草』でネット検索してみると、
『日本桜草』という初めて聞く単語がでてきました。
「ど、どういうことだ?!」
私はその時全てがつながりました。理解できました。
園芸業界は商品を売り込みやすくするために
なんでもかんでも“桜草”と呼称して売っていることを。
心優しいくお人好しな園芸愛好家は
『プロのいうことだから』と、コロっと騙され洗脳されていたことを。

魚好きから園芸界をみると、実にいい加減で、ただただ呆れるばかりです。
いい加減過ぎて、山野草の盗掘が止まない理由を、垣間みる思いがします。
間違いは間違い。駄目なものは駄目。肝要過ぎるもの善し悪しです。
日本桜草の新しい品種を作るもの結構ですが、
出来る事から是正していき、正しく日本桜草を知ってもらいましょうよ。
まずは呼称の是正から。如何ですか、諸先輩方々。
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