2011年01月22日

vol.5 田村景福.2

2.『こんな名前の書き間違いもいくつかあるようです。』
と言われますが、そうかしら。
鳥居氏とさくらそう会の詐術に因る品種名の乗っ取りでない限り
品種名の書き間違いは仕方無いことの1つだと考えます。

浪華さくらそう会会長の山原氏は自身のBlogに、
同音の漢字表記(当て字)に因る書き間違いに関しても掲載されています。
さくらそう会と鳥居氏は根拠を示す事なく断定するだけですが
山原氏は根拠を示しながらシッカリ説明が成されているので、納得がいきます。
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2008年03月17日 『桜草栽培史16 銘鑑訂補拾遺1
◯錦葉集
錦葉集 裏紅表曙白切弁大輪  伊・保・国・鳥
錦葉集 白地紅絞中輪     植
近年「錦葉集」を「金葉集」と書く向きがあるようであるが、
何十年も使ってきた「錦葉」の名を変える必要はまったくない。 
◯嵩山
浪華銘鑑には
高山 こうざん 裏紅表曙白大輪 伊
嵩山 すうざん 裏紅表曙白大輪 控・伊
とあり,全く同じものなので、「高山」を削除する。
これは加藤本に、「嵩山 こうざん」とある読みに引きずられて,
「こうざん 高山」としてしまった誤りである。
ちなみに「嵩山は」中国河南省にある五岳の一つに数えられる名山である。
(加藤本=加藤亮太郎著『日本桜草』(加島書店)昭和34年5月発行)
◯玉冠
浪華銘鑑には
玉冠  たまかんむり  裏紅表移白抱咲大輪 伊
玉の冠 たまのかんむり 裏紅表移白抱咲大輪 控・伊・宇・鳥
とあり,同じものなのでまとめるなければならない。ただ出典の伊には「玉冠」とあり読みはない。
そこで試しに広辞苑で引いてみると、「ギョッカン」で出てくる。
朝廷の儀式で用いられた特別な冠のことである。
ここで「神代冠」のことを思いおこす。
これもかって「かみよのかんむり」と読まれる向きもあったが、
浪華の前会長であった鈴鹿冬三氏が、
「神代には冠などなく、神代冠ジンダイカンという冠の種類があるのみ」と指摘された経緯があった。
「玉冠ギョクカン」もその例であろう。
そこで、
玉冠 たまかんむり、は削除
玉の冠 たまのかんむり は削除
玉冠 ぎょくかん 裏紅表移白抱大輪  控・伊・宇・鳥  として新たな項目をたてる。
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鳥居著『色分け花図鑑 桜草』99ページには『玉の冠 たまのかんむり』として載っているが、
「神代冠」の読み方といい山原氏の説明には合点がいく。

閑話
『色分け花図鑑 桜草』の著者である鳥居恒夫氏とさくらそう会は、
『櫻草銘鑑』を『最高の資料』『最もたよりとする基本リスト。』と190-191ページで紹介しています。
鳥居著『色分け花図鑑 桜草』191ページ掲載『櫻草名鑑』
上から二段目右から8番目に『玉冠』と掲載されており、
一番上の段の右から3番目には『紫雲重』が掲載されています。
此処からは私が『櫻草名鑑』を見ながら感じたことを書きたいと思います。

現在私たちは、何の違和感もなく『紫雲の重(しうんのかさね)』と読んでいますけど、
ひょっとして『しうんかさね』という呼び方が正しいのではないでしょうか?

『櫻草名鑑』にふりがなは付けられていませんけど、
『ノ』『リ』『ケ』『レ』『ト』『ル』のように、送りかなを入れて、読み方を教えてくれています。
なので『玉冠』を『玉の冠(たまのかんむり)』と読ませるのなら、『玉ノ冠』と記載されるはずです。
「あなたのは『玉冠(ぎょっかん)』で、私のは『玉の冠(たまのかんむり)よ。』
などと、将来に困惑を招く事になりかねないので、
今後は『玉冠(ぎょっかん)』で統一したいものです。

そして『櫻草名鑑』には『紫雲重』と記載されているので
『紫雲の重(しうんのかさね』という読み方はおかしい、と思う次第です。
知らぬ間に、勝手に『の』を入れてしまっている品種名も、少なくないのかもしれません。

逆に、勝手に『の』を抜いてしまっている品種名も、少なくないのかもしれません。
現在『白露錦(はくろにしき)』として流通している品種は
『櫻草名鑑』の一番下の段、左から19番目に『白露ノ錦』と表記されています。
『ノ』が入っているのですから、正しくは『白露の錦(はくろのにしき)』でしょう。

昭和15年11月1日発行『農業世界十一月号付録 桜草の作り方』
『上原梓・佐々木尚友 共著 栽培秘訣 桜草の作り方』(博文館)16ページに
『楊柳笛(やうりうぶへ)』と掲載されていました。
『櫻草名鑑』一番上の段右から22番目にも『楊柳笛』と『ノ』が入らず載っています。
現在私たちは『楊柳の笛(ようりょうのふえ)』と読んでいますが
これも正しくは『楊柳笛(ようりょうぶえ)』ではないでしょうか。
ちなみに『青葉の笛』は、『櫻草名鑑』一番上の段右から17番目に『青葉ノ笛』と掲載されています。
『ノ』が入っていますから、現在の読み方通り「あおばのふえ」と読めます。

閑話休題
桜草の品種数に関して
昭和15年11月1日発行『農業世界十一月号付録 桜草の作り方』
『上原梓・佐々木尚友 共著 栽培秘訣 桜草の作り方』(博文館)
27ページ『日本櫻草の品種』の項には
『日本櫻草の品種は、(中略)、一千種に近いものとなりました。
 併し現在残存しているものは、恐らく四百五十種位ではないかと思います。』と書かれており
鳥居恒夫氏は著書『色分け花図鑑 桜草』の中で、
『品種名は、芸名・源氏名と同じようなもの』との旨を公言されていますが、
品種名は、山原氏が言われるように、不変なものです。
「江天鳴鶴」や「大和神風」の例もありますから
「AとBとCとDは同品種なので、花容から品種名はAで認定した。」
などと広く意見も聞かずに断定してしまうべきことではありません。

『櫻草名鑑』の上から3段目、左から14番目に『夕陽』という品種が表記されています。
現在『夕陽』は存在している否か、判りませんけど、
田村景福氏が大正7年1918年に発表した『夕陽紅』は現代でも広く普及しています。
もし誰かが、『夕陽(ゆうよう)』という名札を注した鉢を栽培していても
「これは『夕陽紅』と間違えたんだね。」と安易に指摘はできませんから、注意が必要でしょう。

しかし品種の書き間違いは、昔からあったようです。
加藤亮太郎著『日本桜草』(加島書店)昭和34年5月発行では
209ページからの日本桜草一覧を見ますと、読み方などについての注意書きがあります。
『梓衣(あずさごろも):綾衣の誤ならん』
『織浪(おりなみ):織姫の誤ならん』
『漢泉殿(かんせんでん)=甘泉殿』
『還城(かんじょう):還城楽の誤か』
『汲衣(くみごろも):汐衣?』
『雲居(くもい):雲居鶴と同じならん』
『塩衣(しおごろも)=汐衣』
『上紫(じょうし):紫鑼の誤りか』
『千里一羽(せんりひとは):千里一跳?』
『園梅(そのうめ):梅園と同様か』
『大杯(たいはい):おおさかずき(大杯)と同様か』
『太平楽=泰平楽(たいへいらく)』
『竹取翁(たけとりおきな):竹取姫(たけとりひめ)に同じ』
『鶴の髭(つるのひげ):鶴の毛衣の誤か』
『南京(なんきん):南京小桜と同様か』
『萩の上風(はぎのうわかぜ):萩の下露と同様ならん』
『初日の出(はつひので):初日野に同じか』
『花大将(はなたいしょう):華大将と同じか』
『花玉垣(はなたまがき):朱の玉垣と同じか』
『花の宴(はなのえん):花莚と同様ならん』
『万里の船(ばんりのふね):万里の響(ばんりのひびき)の誤りか』
『飛竜紅(ひりゅうこう):飛竜に同じ』←仙台を仙台紅と表記するのと同じ誤りですね。
『不礼講(ぶれいこう):無礼講に同じ』
『弁慶状(べんけいじょう):弁慶上か』
『御田の光(みたのひかり):三田の光に同じならん』(港区三田にある御田八幡神社に所縁か?)
『深雪笹(みゆきざさ):深雪笠の誤りか』
『御世の誉(みよのほまれ):御国の誉誤ならん』
『楓の賀(もみじのが):紅葉狩に同じか』
『大和神楽(やまとかぐら);大和神風の誤か』
『雪姫(ゆきひめ):青葉の笛に似る』
『我が母(わがはは):母の愛に同じ』

閑話
田村景福氏が作出した『夕陽紅』の読み方を、私は「ゆうひべに」だと思っていました。
鳥居著『色分け花図鑑 桜草』45ページに、そう書かれていたからです。
でも、上記文章を作成するにあたり加藤亮太郎著『日本桜草』を写している時に、ふと思ったのです。
『夕陽(ゆうよう)』『飛竜紅(ひりゅうこう)』なら、『夕陽紅(ゆうようこう)』ではないのか?と。
(ちなみに鳥居著『色分け花図鑑 桜草』41ページ『関台紅(せきだいこう)』)
そこで、昭和15年11月1日発行『農業世界十一月号付録 桜草の作り方』
『上原梓・佐々木尚友 共著 栽培秘訣 桜草の作り方』(博文館)を見てみてビックリ!!
19ページに『夕陽紅(ゆふやうこう)』と載っているではありませんか。
慌てて浪華さくらそう会誌『日本桜草総銘鑑』もチェックしてみたら、『夕陽紅(ゆうようこう)』と載ってます。
さくらそう会の世話人代表を務める鳥居恒夫氏、此処でもまた適当なことを遣ってましたわ。

閑話休題
また、こういう事もありました。
2009年05月18日『山形市産3品種』、『高根の雪』を頂戴した家のご主人が翌年になって
「根ではなく嶺と書いて「高嶺の雪」ではないのか?」と質問してきました。
インターネット上には「高嶺の雪」と書いた名札を挿した鉢も見かけますが、
鈴鹿冬三著『日本サクラソウ』140ページに
高木勇氏の作出 高根の雪 昭和42年(1967年)選出
と書かれており、最初から『高根の雪』で命名したと考えられます。
『高根の雪』は命名者の意志なので、『高嶺の雪』は誤りになるでしょうね。
ちなみに、
図鑑と銘打った鳥居著『色分け花図鑑 桜草』68ページ『高根の雪』の項には
1982年認定 高木勇発表とあり、さくらそう会認定年度が掲載されていおり、
さくらそう界の資料としての訂をなしておらず、呆れるばかりです。

「しお」という発音の漢字には、
同音の「汐」「潮」「塩」を(おそらくは深く考えず)使って人もいますし
同音の漢字を、とくに旧字体を使ってしまうことは、日本人の性なのかもしれませんね。


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本当は↑で締めて終わりの予定でしたが、下記を加筆しない分けにはいかなくなりました。

私は決して鳥居著『色分け花図鑑 桜草』の粗探しを行っているわけではない。
粗探しする気なら、鳥居著『色分け花図鑑 桜草』を掲載順に見て行けば良いだもの。
ネットサーフィンや資料を見て疑問に感じたことを調べているだけなのだが、
その調査の過程で、次々と『おや?』『あれ?』と出遭ってしまうのだ。

加藤亮太郎著『日本桜草』(加島書店)昭和34年5月発行
日本桜草一覧の項231ページ
『高砂(たかさご):表白地緑斑絞裏淡紅大輪』と掲載されていることに気づき、『あれ!?』と思った。
実は私、最近まで緑斑入りの花に関心があり、
鳥居著『色分け花図鑑 桜草』68ページ掲載『高砂染(たかさごぞめ)』を入手したおと願っていたからだ。
鈴鹿冬三著『日本サクラソウ』をみてみると
164ページ『高砂(たかさご):表白地緑斑絞裏淡紅大輪』と掲載されている。
(『日本桜草』と『日本サクラソウ』のいずれにも『高砂』の画像は載っていない。)

鳥居著『色分け花図鑑 桜草』68ページ掲載『高砂染(たかさごぞめ)』には
「綾千鳥の名で栽培されているものは同品種」とも書かれていたので
浪華さくらそう会『日本桜草総銘鑑』で『綾千鳥』と『高砂染』を調べてみた。
すると、『綾千鳥』は埼玉さくらそう会誌“櫻草”2号で
『高砂染』の出典元では鳥居著『色分け花図鑑 桜草』となっていた。

鳥居氏は『色分け花図鑑 桜草』に『高砂染』の作出年代を「江戸末期」と記載している。
しかし、鳥居著『色分け花図鑑 桜草』地錦抄から櫻草銘鑑への項、
191ページ掲載『櫻草名鑑』の一番下の段、左から13番目に『高砂』が載っており
私には「裏淡紅表白斑緑絞リ大リン」と読めます。
これは、どういうこと???
本城正憲氏の博士(農学)学位論文にも、『高砂染』と載っているが、
鳥居氏が紹介している江戸末期に作出されたという『高砂染』とはなんぞや?!
これは第二の『大和神風』事件!?

かように次々と疑惑が沸き上がる『色分け花図鑑 桜草』を書いた
鳥居恒夫氏と氏が世話人代表を務めているさくらそう会の説明は、鵜呑みにしてはいけないのである。
さくらそう会の会員のみなさんは、如何思われます?

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