2011年01月18日

vol4. 山原茂.2

浪華さくらそう会の会長である山原茂氏は、
自身のBlog『日本の桜草と美術』の中で、繰り返し主張されている事項が幾つかあります。
その1つが、「大和神風」の品種名が「神風」に変えられている。という主張です。
山原氏は事ある度にこの件について述べておられますが
此処では自身のBlogに掲載された2ツを紹介したいと思います。
・2007年02月19日『桜草の品種改名について
・2010年04月27日『大和神風は大和神風ー改名してはならない

山原氏は上記サイトで、下記の旨を述べられています。
・「大和神風」の品種名が「神風」に変えられている要因は、鳥居著『色分け花図鑑 桜草』の影響であるらしいこと。
・「神風」への改名にそれなりの納得しうる理由があるのだろうか。
・最初に「神風」と名付けられたという証拠はどこにもない。
・本当に「大和神風」の元の名が「神風」であったかどうかである。

それでは、山原氏が要因と指摘されている鳥居著『色分け花図鑑 桜草』を見てみましょう。
『色分け花図鑑 桜草』(2006年2月20日初版 学習研究社)は
さくらそう会世話人代表を務める鳥居恒夫氏が
さくらそう会世話人と会員の協力のもと出版された著書です。

鳥居著『色分け花図鑑 桜草』81ページ
『神風(じんぷう)』の項には、下記のように解説されています。
----------------------------------------------
『神風(じんぷう)』荒井与左衛門発表
花弁の裏側は濃桃色で糸覆輪、表は曙白。
東京駒込の植木屋・塚万(荒井)の植木鉢に自然に生じたとされ、
現在では西王母より自然にできた四倍体とされている。(中略)。
豪快な花容から神風と名付けられ、のちに大和神風となったが、原名に戻して認定した。
----------------------------------------------
閑話
明治時代は駒込が多く存在するので、東京駒込という住所は明治時代通用しない。
住所には、府県名と町村名、町名と番地が続くが、
東京駒込では府県名の後に町名を書いたようなもので、市町村名が抜けている。
現代人は「東京駒込」と聞いただけで、知ってる気になって読み流してしまいがちですが
(「山形県本町」と言ってるのと同じことで、「山形県山形市本町」という意味にはなりません。)
しかも明治時代、東京は東京府であり、現在の駒込という地名と必ずしも同一しないのです。
図鑑というジャンルの書籍なのですから、
住所をはしょり、書籍に適当に掲載することは間違であり、あるまじき行為です。

閑話休題
さらに『神風 さくらそう』でネット検索してみると
Blog『いいおしめりですね』へ寄せた山原氏のコメント絡みで、3ツもヒットしました。山原氏、熱いです。(笑
・2010年05月18日『「大和神風」と「神風」という名前の「さくらそう」
・2010年04月27日『さくらそうの名前・品種名
・2010年04月25日『さくらそうの「神風」の花が咲いた
Blog『いいおしめりですね』を運営されておられる塾長さんも
鳥居著『色分け花図鑑 桜草』に書かれたことと同じ趣旨を述べられてますが、
「大和神風」と「神風」の花容が古典園芸の資料と違うことは認識されています。
しかし、それでも是正しようとしない姿勢は悲しくも情けなく、
これが桜草愛好者の一般的見識と対応なのでしょうか。

「大和神風」と「神風」のように、品種名に関する事を問題視されている人は
ネット上には山原氏以外は居られないようで、残念に思います。

また、鳥居著『色分け花図鑑 桜草』が要因とされる
「大和神風」と「神風」の品種(品種名)の問題は、
園芸愛好者の問題の粋を越えているように思えます。

2010年02月09日『今更ですが.18』で紹介した
『鳥居恒夫著『さくらそう』日本テレビ放送網株式会社 (1985年)(昭和60年4月17日発行3990円)』
を参考文献とした本城正憲氏の
『筑波大学大学院 生命環境科学研究科 生物圏資源科学専攻 博士(農学)学位論文』
『サクラソウ集団における遺伝的多様性の保全 に関する分子生態遺伝学的研究』
には、
神風 γ 4倍体 短花柱花 明治 荒井与左衛門 「西王母」の自然4倍体
と書かれています。

昭和60年 (1985年)4月17日発行鳥居著『さくらそう』を
私は見た事が無いので、「神風」が4倍体である旨が、掲載されているか否か分りませんけど
平成18年(2006年)2月10日発行鳥居著『色分け花図鑑 桜草』110ページ『品種改良の方法と倍数体』の項に
『4倍体の神風(西王母から自然に生じた)』と記載されてあります。
学術的に「神風」が4倍体であると表記した資料は、
平成17年(2005年)3月25日本城正憲氏が学位授与された、上記の博士(農学)学位論文だけなので
鳥居氏はそこから出典してきたのでしょう。
しかし、
昭和51年(1976年)5月1日初版 鈴鹿冬三著『日本サクラソウ』
142ページ日本サクラソウの倍数体品種についての項をみますと
『四倍体 大和神風 以上昭和四十八年大阪府立大学遺伝育種研究室山口聰氏発表』と掲載されているのです。
(参考までに昭和48年=1973年)


「神風」に関しては、読み方には違いが見受けられます。
鳥居著『色分け花図鑑 桜草』81ページでは『神風(じんぷう)』ですが
浪華さくらそう会の会長を努めた鈴鹿冬三著『日本サクラソウ』には
162ページ「神風」(かみかぜ):白狂咲大輪
166ページ「大和神風」(やまとかみかぜ・やまとじんぷう):表曙白裏桃色垂咲巨大輪)
と書かれています。

そして大変興味深いことに
vol3. 農業世界十一月号付録』で紹介した
昭和15年11月1日発行『農業世界十一月号付録 桜草の作り方』(博文館)
『上原梓・佐々木尚友 共著 栽培秘訣 桜草の作り方』
でも、
P219に「神風(かみかぜ)」白狂咲大輪と掲載されています。
また此処が肝心なのですが
P249に「大和神風(やまとかみかぜ)」巣鴨の梅栽培家塚万の鉢の中に生じたと伝う。
(明治年間)(西王母の実生か田村氏談)。と田村景福氏の談話が掲載されています。
因に、
「神風(かみかぜ)」の出典元は京都園芸クラブ誌、柴山政愛氏、溝口正直伯爵。
「大和神風(やまとかみかぜ)」の出典元は京都園芸クラブ誌、田村景福氏。

此処まで書けば結論は明白。
なんのことはない、山原氏の主張は正しく、
昭和15年11月1日発行『農業世界十一月号付録 桜草の作り方』(博文館)
を読めば全て解決じゃないですか。
「神風」への改名しうる事由も理由も証拠もない。
「神風」と「大和神風」は、最初から全くの別モノだったのです。
誰も「神風」を「大和神風」に改名していないし、史実も存在しない。
最初から「神風」は「神風」であり、「大和神風」は「大和神風」だったのです。

「神風」は白狂咲大輪であり、それ以外で
現在「神風」として栽培されている品種は
全て「大和神風」だということです。

それにしても、鳥居氏は品種名の乗っ取り(すり替え)が得意なんですね。
自然絶種した富士越や無礼講と同様に、花をすり替える詐術行為を行い、
古花である「神風」のおいては読み方さえも『かみかぜ』から『じんぷう』に変えてしまった。
しかも荒井与左衛門は植木屋ではなく梅栽培家。住所記述もいい加減。
桜草愛好者と読者をたぶらかす鳥居恒夫氏の文法使いは全く巧みで詐欺紛いです。

それと同時にさくらそう会の会員の方々にも、
鳥居氏の説明に何も感じていないのかと、大きな疑問を抱いてしまいます。
世話人制度度にオンブに抱っこで言われるがまま鵜呑みにして疑うことを知らず
まるでさくらそう会は世話人の私設組織になりさがっているかのように感じます。
それとも世話人代表の意見には、誰も反論できないシステムに成っているのでしょうか。
「大和神風」は「大和神風」。この事は、古い資料を読めば直ぐに解決した話しです。
さくらそう会は素敵なHPも有しておられるのですから、
世話人は資料を広く公開され、会員同士の意見交換を活発に行われた方が、宜しいのではないでしょうか。
さくらそう会の世話人と会員の皆様には、招いた混乱を払拭し、古典園芸の桜草の未来への貢献をお願いします。

山原氏は2010年06月12日Blogに書かれた『浪華さくらそう会幹事会』の中でも、さくらそう会への義憤を述べています。
--------------------------------------------------
・名前の変更は許されないことである。
考えれば考えるほど東京のさくらそう会の所業(大和神風を神風などに)の自分勝手さに憤りを覚える。広く意見を聞くわけでもなく,浅はかな理由で変更し,全体に通知するわけでもなく、いわば自分たちの考えが絶対として押し付けているのである。
--------------------------------------------------
そして最後に、こうも言っています。
「広くいろんな人と桜草談義がしたいものである。」と。

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この記事へのコメント
 
 銘柄に関して細かな検証をされ、鳥居氏の言動に義憤をおぼえるのは、よく分かります。しかし本城氏に対する批判は性急だと思います。氏の学位論文にある神風の検証では、(61ページ)神風は「西王母」の自然倍化した4倍体品種とされるが、とあり 氏の遺伝子分析は、いわば追試としてなされています。したがって過去の論文に目を通していないわけはありません。

私も「広くいろんな人と桜草談義」がしたいものです。
ゆったりと・・・
Posted by 三宅修次 at 2011年01月29日 07:12
三宅さん、コメントありがとうございます。

>> 本城氏に対する批判は性急だと思います。

論文は検証結果報告であり、今後の検証課題などではありません。それに、本城氏の園芸品種の桜草のDNAデーターに懐疑的な理由は、三宅さんとは根本的に違う気がします。

鳥居氏(さくらそう会)=伊丹氏(埼玉県花と緑の振興センター)

大澤良氏(筑波大)

大城氏(筑波大)

DNAのサンプル資料は、上記のように伝わったものでしょうから、DNAデーターがその品種である確証が無いことが問題なのです。大城氏が園芸品種の桜草のDNA分析を行ったというのなら、日本各地の桜草愛栽家から、サンプリングをすべきでした。さくらそう会や伊丹氏、大澤氏から提供されたサンプルを分析した結果=園芸品種の桜草のDNAとは成らないはずです。さくらそう会の会員が全面協力したとしても、これも意味が無い話しで、全国から広く数多く集わないと、園芸品種の桜草のDNAとは言えないはずです。大城氏が行ったDNA分析は、1つの水族館の魚をDNA分析して、水槽に示された魚類名でDNA分析結果を発表したに過ぎません。品種名を芸名と公言する“鳥居氏=伊丹氏”が有する鉢がサンプルになっています。高砂染のように存在しない品種や種が違っている可能性があるこんな論文を、園芸品種の桜草のDNA資料と言えますか?
それでも批判は性急でしょうか。文字通り論外な話しだと思います。

鳥居氏が「青柳染は松の雪と同品なので、調べる必要はありません。」と著書の中に記していますけど、それだって研究者が青柳染と松の雪のDNAを調べた結果、同品と判断した分けではありません。飽くまで個人的判断でしかない話しの記載です。大城氏も、恩師と思われる大澤良氏の指導で与えられた資料を分析しただけで、積極的に園芸品種の桜草のDNA分析を行っていません。そういう意味では、過去の論文を調べ尊重する必要は無く、大澤氏の指導のもと神風と西王母を語れたのでしょう。

先日、西湖でクニマスが見つかったと中坊教授は発表しました。田沢湖のクニマスの卵を10万粒放流した史実があり、体色・形態・生態・遺伝子レベルでクニマスと判断されたそうですが、田沢湖のクニマスのデーターは残っていないので、照合材料もありませんから、中坊教授の憶測とも言えるわけです。中坊教授の研究内容は事実でも、真実である確証には至っていないはずですから、本来なら確証を得てから発表すべきだったと思いますし、引き続き調査研究が行われていくことでしょう。本城氏の論文も事実であり、貴重な資料であることは確かですから、今後誰かが園芸品種の桜草のDNA分析調査を全国規模で行われていくことを願っています。サンプルが増えた時、初めて品種名とDNAを語れると思います。
Posted by さくらさくら at 2011年01月31日 20:20
>> 銘柄に関して細かな検証をされ、云々。

私は何も細かに検証したつもりはありません。誰もが入手可能で、桜草愛栽家の諸先輩方が普通?に所有されているであろう資料を、見ただけの話しです。粗探しするために見比べた結果ではありませんし、非常に単純で浅い問題だと感じました。鳥居氏の言動への義憤もありますが、こんな単純明快なことを、歴史在る桜草愛栽家の会員の方々がなぜ黙っていられるのか、不思議で理解出来ません。

先日、ネット上で下記のニュース記事を読みました。カフェインやカロリーや糖質が含まれているミネラルウォーターなど聞いた事が無い。ちょっと考えたら判ることです。桜草にも神風や高砂染は存在してないことは、ちょっと調べたら判ったことです。日本の食品メーカーを盲目に過信している我々一般市民が無知で愚かなだけです。
メーカーは事実を書いているので虚偽ではありません。虚偽ではないので食品偽装にあたらないので、新聞紙面を飾ることはありません。鳥居著『色分け花図鑑 桜草』と本城氏の論文が存在することは事実ですが、真実ではありません。事実を楯に『品種の同定には鳥居著『色分け花図鑑 桜草』を参考にしています』と逃げ口実を飾るBlogや園芸店HPが如何に多いのか。桜草愛栽家も疑うことを覚え、真実を知り、伝え残していくべきではないでしょうか。

もともと含まれていない成分を「ゼロ」と表示したら売り上げアップ
ゼロ食品氾濫が映す、食品表示の後進国ニッポン
東洋経済オンライン 1月28日(金)10時51分配信
ttp://www.toyokeizai.net/business/industrial/detail/AC/fccb46db8eb0837cb3a260b9a782376a/

上記記事をアップしようとしたら『入力禁止の単語が含まれています』として蹴られてしまいました。何が悪かったのかしら?
Posted by さくらさくら at 2011年01月31日 20:24
本城正憲氏は、筑波大学に所属する研究者です。その氏が学位論文を執筆するにあたり、まずその大学が持っている基礎資料を参考にするのは、当然です。大学のHPから所有するサクラソウについての文章をコピーしますと・・ 開学当時から(筑波大学農林技術)センターが集めてきた約100品種に加えて、2003年度に埼玉県から約200品種が
譲渡されたもので、国内有数の保有数である。
 これだけ多くのサクラソウ品種を一ヶ所で有するところは少なく、逆に言えば、江戸時代からの貴重な園芸植物遺伝資源を維持しなければならない責務を負ったということになる。 となっています。
また野生種については、本城氏は単車で全国を走り回り山野で直接自生を確認したものだけをサンプルにしたと伺っています。
 そして例えば「霞の衣」と「化粧の舞」は同じクローンといわれていたが異なる品種である結果がでたことを記し、大学以外の場所で栽培されている株からも調査する必要があると論文内に明記しています。研究者としてのスタンスは正しいと思います。
Posted by 三宅修次 at 2011年02月01日 10:22
三宅さま、
やはり色々な情報があるのですね♪
本城正憲氏は鷲谷いづみ女子と同じ?東京大学農学生命科学研究科PD研究員で保全生態学・遺伝学だそうです。桜草の園芸品種のDNAが解明されていき、昔の資料と照らし合わせ、品種が確立されていくことを願っています。
Posted by さくらさくら at 2011年02月01日 19:02
いちばん問題なのは、「さくらそう会」世話人代表の鳥居さんが、長い間 寄せられる質問に答えようとしないことです。私は会員ではありませんから独断かもしれませんが、そのため「会」に質疑応答する体質がなくなってしまったように思えます。

またさくらさんが心配するほど栽培家は、銘柄の変更に混乱していない気がします。自分の交際範囲の人と同じ名前の花をもっていれば安心してそれ以上の詮索はしない。

それに今までの栽培家は、さくらそうについてその生態を知らなさすぎました。鷲谷いづみさんが1998年に「さくらそうの芽」を出版するまでこの花に蜜のあることさえ知らなかった。鳥居さんの師である大山玲瓏さんの手引書さえ、この花は蜜槽を持たないため、昆虫類による花粉の媒助は行われません、とある。今後はDNAを解明する鷲谷さんグループの研究成果に注目し、正確な品種一覧をつくりたいものですね。
Posted by 三宅修次 at 2011年02月01日 21:23
三宅さん、コメントありがとうございます。
インターネットも普及して、さくらそう会もHPを開設している?のですから、鳥居さんからも情報発信してほしいですね。

>> それ以上の詮索はしない。

花が好きで栽培しているだけですから、当然のスタンスと言えますよね。(^^;
桜草に魅せられてしまった私や三宅さんに、問題があるのかもしれません(笑。
Posted by さくらさくら at 2011年02月02日 19:26
さくらさん 

はじめまして。
さすがに誤解が激しいようなのでコメントします。

その前に。
批評するのは自由ですが、他人の実名を出すならば、さくらさん自身も実名を出して語るべきでしょう。山原茂会長も堂々と実名で意見を述べておられます。それがフェアというものです。

さくらさんの本日の記述に関して、以下の1点だけは、ぜひとも再確認および訂正をお願いします。

さくらさんは、私が「山口聡さんの文献を調べていない、失礼な話である」と書かれていますが、もう一度、表をご確認ください。
山口聡さんの文献(山口(1981))を引用したうえで、山口さんが明らかにした倍数性を記しています。

それを見落としたうえで上記のようなことを書かれるのは、それこそ、私にとっても、山口氏にとっても大変無礼だと、私は思います。

また、最低限、鳥居氏の「さくらそう」(日本テレビ、1985年)を入手したうえで記述するべきではないでしょうか?
Amazonで検索すれば、今でも買えるようですよ。そのような努力はされたのでしょうか?


さくらさんが桜草に対して「熱い」のはよくよく伝わってくるのですが、ぜひとも思いこみではなく、より正確な理解をしたうえで大いに語っていただきたいと思います。


それから、さくらさんには、ぜひともDNA鑑定の長所についてもご理解していただけばと思います。さくらさんも指摘されているように、栽培の歴史が長い桜草園芸品種では、同名異品種、異名同品種、名称の変更などの問題が生じているようです。DNA鑑定の技術は、2つの株が同じ品種なのか、それとも別なのか、といったことを明瞭に示すことができます。開花期でなくても判定が可能です。そういったことが「桜草園芸品種でもできる」ということを示したかったという意図をご理解いただきたい。確かに現時点ではまだ不十分な段階であり、さくらさんも述べているように複数個所から複数株を採取したうえで、技術を確立していくべきでしょう(そのことは、私も文章中で述べています)。DNA分析は特殊な機器や試薬などが必要なので、おいそれとできるものではないのですが、さくらさんが問題と感じていることがらについても、一定の解答を導き出せる技術だと考えています。

最後になりますが、さくらさんには、ぜひとも庄内の”野生”サクラソウについても、情報を追っていただければと思います。個人的に非常に関心を持っている地域です。楽しみにしています。
Posted by 本城正憲 at 2011年02月09日 23:52
本城正憲さま、コメントありがとうございます。
つたないサイトにお越しいただき恐縮です。山口氏の件は明日にでも訂正か削除しておきます。また、鳥居氏の「さくらそう」(日本テレビ、1985年)は、『色分け花図鑑 桜草』を読み、4200円もだして世界のプリムラを購入した者として、申し分けありませんがわざわざ買う気にはなれません。鷲谷いづみ女史の書籍なら中味が専門的すぎて理解できないとしても読んでしまっていますが、「さくらそう」(日本テレビ、1985年)には、何か特別な事が書かれているのでしょうか。

DNA鑑定に関しては、魚類の方で専門家の方々から素人向けに大雑把にですけど話しを伺っているので、理解しているつもりです。本城さんの桜草園芸品種のDNA分析結果を魚類のDNAの専門家に紹介したら、面白いと言ってました。「だったら何が面白いのか解説してくれ」と言ったら「ジャンルが違うから無理。(^^)」と一蹴されました。(^^;

『「桜草園芸品種でもできる」ということを示したかった』との旨も、理解しているつもりです。だって桜草園芸品種のDNA鑑定を行ってもお金にならない=産業につながらないと思うからです。
岩魚という魚は、生息する沢毎に個々違う紋様を有しており、釣り人はそれをネイティブ個体と呼んで貴重な個体だと捉え保護したいと考えていますが、保護して生息地を保全しても、産業にはつながらないので研究費がでません。岩魚という魚は養殖技術が確立してしいるので絶滅する心配はないので、保護する必要性もないというのが行政の姿勢です。ネイティブ個体であろうと養殖個体の放流であろうと、行政には関係ないのです。他にも川魚に関しては色々語りたいのですが、省略します。
的外れなことを書くかもしれませんが、種子学は、暑さに強い、寒さに強い、茎が短く風に強い、実を多く付ける、病気に強い等など、そういう遺伝子が重要であり、品種名は二の次ではないのかと私は感じています。生態学では、自生地が大切であり、園芸品種は関係無いと考えられていると私は感じています。植物の研究において、青いバラのように新しい品種を生み出せばお金になりますけど、既存する園芸品種を分類してもお金にはつながらないと思いますから、愛栽家としては大歓迎ですが研究となると、大変な苦労だと思います。

『DNA鑑定の技術は、2つの株が同じ品種なのか、それとも別なの か、といったことを明瞭に示すことができます。』その通りですが、例えば田沢湖のクニマスのDNAが残っていないのに、西湖で発見されたクニマスを田沢湖のクニマスの子孫であると同定できるのでしょうか。ひょっとしたら西湖に生息する新種かヒメマスの亜種かもしれないわけです。同様に、松の雪と柳の雪が同品種か否かを同定する際、ベースとなるデーターはあるのですか。前代未聞と木枯はどちらが短柱花か長柱花か判断つけられるのでしょうか。そこを気にしているところです。前代未聞と木枯がどうであろうと、桜草の愛栽家以外は誰も困らないことなので研究の対象にもなり辛く、イグノーベル賞にも無関係。それでも広く数多くのデーターを解析され資料を読み解いて時系列が判れば同定できるのかもしれず、桜草の愛栽家同様私も本城さんの研究には期待しています。早い時期に、桜草園芸品種のDNAに関する書物を出版してください。大澤氏や本城さんからの桜草に関する書籍出版を密かに楽しみにしています。

自生地が消滅した植物は、学術的に価値は無いと言われたことがあります。とはいえ岩魚と一緒で、闇雲に混ぜてしまってはいけないと考えています。庄内紅は間違いなくその地区の個体ですが、庄内白だけ産地が不明です。遊佐の庄内白は遊佐産らしいのですが、他の地区の庄内白の大元が不明です。案内を致しますので機会ありましたら是非庄内まで足を伸ばしていただき、庄内各地の桜草を調べていただけたらと思います。
Posted by さくらさくら at 2011年02月11日 00:03
結城嘉美先生が調査、執筆された時分からも随分時が経ち、手がかりを探すのはご苦労が多いかと思いますが、何か新しい発見があると良いですね。
Posted by 本城正憲 at 2011年02月12日 22:49
本城さんからの書き込み何よりでしたね。
 しかし先輩ぶっているようで書きにくいのですが、自分の書いた他人を批判する文章に決定的な誤りがあったときは、もっときちんとあやまるべきだす。分かりました訂正か削除しておきます、ではだめです。
 例えば、自分の書いた文章をそのままにしておいて、注をいれここの箇所は間違いでした。本城氏に多大なご迷惑をおかけしました。くらいの言葉を添えるべきです。

 なぜならさくらさんの本城氏批判をすでに多くの人が読んでいるはずです。その批判をもう一度確かめようとこの頁にもどってきた人に事情を的確に伝えるにはそうしておく責任があるでしょう。また本城さんの薦める本には、目を通すべき義務が生じたと思います。

 さくらさんの鳥居さん批判は、同感するところがありますが、時に
ご乱心気味になるのが気になるところです。また改めます。

                       三宅修次
Posted by 三宅修次 at 2011年02月15日 09:18
本城さま、
コメントありがとうございます。レスが遅くない申し訳ありません。

庄内の桜草を最初に栽培されていた方々の年齢は90-85歳と高齢で、
既に亡くなっておられることも多く、
これ以上、自生地の情報を得るのは困難ではないのかと思います。
中年オヤジが、農作業で忙しいGWの日中に、
閑散としている集落内を独りうろつく様は不審人物そのものです。
桜草の鉢を持って訪ねても花の押し売りと警戒され、
警戒心露な視線を浴びながら、自己紹介から始まって訪ねた理由を一から話しても
「あんた何?」「それ調べて何なんの?」と決まって言われるのですから、
好きで始めたこととはいえ正直辛いです。

ここらで一度本城さんに来ていただき、
サンプリングしてDNAを分析してほしいと願っています。
よろしければ本城さんへの連絡先を教えていただけませんか。
お願いします。
Posted by さくらさくら at 2011年02月19日 19:15
三宅さん、
いつもコメントありがとうございます。今回はレスが遅くない申し訳ありません。

本城さんからの書き込みは、本当に嬉しく、これを機に連絡が取れれば幸いです。
同様に、いつもコメントを下さる三宅さんにも嬉しく思い、感謝しています。

そんな三宅さんからのご指導とはいえ、これ以上のことは致しません。
私は批判目的で記事を書いてるわけではありませんし、品種名の問題も解決していません。
DNA分析で細かに分類できることは、鷲谷女史のサクラソウの目を読むだけで理解できますが、
分類はできたとしても、品種名と合致させる根拠はないのですから、私は納得できません。

鳥居著「さくらそう (1985年)」をAmazonで調べたら、1.3万円もするじゃないですか。
しかも151ページしかなく、『色分け花図鑑 桜草』からも、どんな内容か察しがつくというものです。
鷲谷女史の本は値段は高価で専門過ぎて中味は難解で理解できませんが、
それでも手に取るとわくわくします。鳥居氏の本に、それを感じません。
ブックオフなどの古本屋で手に取って中味を見て、価値と値段が折り合えば買いますが
Amazonで取り寄せてまでは、絶対に買いません。
本城さんが桜草に関する書籍や論文なら、歓んで買いますよ!(^^)
Posted by さくらさくら at 2011年02月19日 19:17
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