2011年01月15日

vol.2 加藤亮太郎

加藤亮太郎著『日本桜草』(加島書店)昭和34年5月発行 を読みますと
(著者は、昭和11年1936年創立の浪華さくらそう会を昭和30年1955年に再出発させ、会長を努める。)
(ちなみに、現在鳥居恒夫氏が世話人代表を努めるさくらそう会の創立は昭和28年1952年。)
温故知新とは良く言ったもので、
鈴鹿冬三著『日本サクラソウ』(NHK出版)同様読み応えがあり、この本も実に面白い。
面白すぎてお伝えすることを忘れてしまうほどである。
機会があれば是非読んでいただきたい本です。

加藤亮太郎著『日本桜草』では最初に呼び方について書かれています。
P1
『一.桜草について』
『名称の起り』から始まってP5終わりの方に、
『学名に対して、和名での正しい呼び名が即ち、「さくらそう」であります。』
と書かれています。
長々5ページにわたって綴られているので、素直に『フムフム』と読めてしまいます。

プリムラ=西洋桜草=桜草とい呼称がひろまってしまっているけど、
卑屈になって日本桜草と名乗らず、堂々と桜草と名乗りましょう!
と言われている気がします。(^^;

P33に、
『さくらそうの故郷』の事項では
神奈川県:橘樹郡小机
と載っています。
『小机』といえば
横浜さくらそう会と日産スタジアムが協力して行っている
サクラソウ自生地復活プロジェクト
地元の野生品種という『小机』が書籍に紹介されていたことは
大きな驚きと歓びだったと思います。
その想いが分りますし、羨ましい限りです。

P93に、
『現在品種の中から、お勧め出来る、強健な品種を列挙してみますと、云々。』
とあり
『源氏鏡、香炉峰、月の都、富士の雪は、天保年間から伝えられた歴史的の品種であって、
 今なお、旺盛な活力を保っているという強健なものです。』
と記載されているのですが、源氏鏡は品種間違いで出回っており
ネット上の画像掲載件数もとても少ない状況です。2010年12月26日『植え替え.0

源氏鏡は出回っておらず、香炉峰、月の都、富士の雪が普及して入手しやすい
という、この現状の差は、さくらそう会と鳥居著『色分け花図鑑 桜草』の影響かしら。

やや弱いと思われる品種に、紫雲の重が載っていました。
ウチでも品種不明で譲渡を受け、花を見て、私が紫雲の重と勝手に同定した株がありますけど
2007-2008と3年間1輪のままで2009年にやっと2輪となりました。
芽は大きく花も立派に咲くのですが、繁殖力の弱さには納得するところです。

もっとも弱いものに、玉珊瑚が挙っていますけど、ウチではよく増えている気がします。
とはいえ芽は小さいので、まだ鉢慣れしてないのかもしれません。

興味深かったことは、P67に書かれた
柴山政愛家門外不出として‘有名だった’『ふじごえ』に関する記述です。
『ふじごえ』は自然絶種。
また富士越の由来も書かれています。
因に、『ふじごえ(富士越え)』は、『ふちごえ(縁越え)』をもじって名付けられたもの、
即ち、花梗が垂れ下って、鉢の縁を越したことによるそうです。

私は富士山のように日本一大きな花を更に越えた大輪花、という意味かと思っていましたが
全然違ってました。当て字どころか、もじっていたとは驚きです。

柴山政愛家門外不出として‘有名だった’『ふじごえ』は自然絶種した。
鳥居著『色分け花図鑑 桜草』P90富士越の項に、
『この花が広まったのは1952年にさくらそう会が発足して、苗の配布に努めたことによる。』
『なお、この富士越は実は二代目で、初代が枯れたのちに、再び命名されたものとされる。』
と掲載されています。
絶種した『ふじごえ』の二代目が登場する摩訶不思議。
柴山政愛氏が門外不出一子相伝で守ってきた『ふじごえ』は自然絶種したと広言し
加藤亮太郎氏は‘有名だった’と過去形で表記している『ふじごえ』。
それを、正しい品種を伝えることが趣旨でもあるさくらそう会が
『再び命名されたものとされる』
と、出所不明の曖昧な品種の配布に尽力したことは、如何なる所存だったのか。
このような文言は鳥居著『色分け花図鑑 桜草』P153無礼講の項にもあります。
『古花の無礼講は現存せず、現在のものは二代目である。』
理解に苦しみます。

浪華さくらそう会の会長であり、ご自身も実生の新花を作出されている山原茂氏は
自身のBlog『日本の桜草と美術』で、下記のように記されています。
2010年04月27日『大和神風は大和神風ー改名してはならない』より抜粋。
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ものの名前というのは一旦名付けられれば変えないというのが世の不文律で、
名と実が一致してこの世界が成り立っているからである。
実生家が自ら生み出した花に私的に名前をつけても、
それを世に送り出せば,その名は公的に存在するものとなる。
そうなると実生家自身と言えども自己の都合で
それを変えるわけにはいかない。この原則は誰も曲げられない。
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