2007年09月02日

赤川自然再生事業

赤川のサクラマスは国会にも取り上げられ、現在赤川では、全国四箇所の国家事業の一つとして、赤川自然再生事業が行われている。河川に生息する動植物・魚・昆虫に配慮した川造りを行おうという事業です。

閑話
サクラマスは、春に川に遡上して夏を淵で過ごし、秋に沢で産卵する魚です。サクラマスの卵は酸素吸収率が悪く、豊富な酸素がある場所=山奥の沢でないと育だちません。鮭と違って、湧き水の沢や本流などでは、孵化できないのです。体長60cm/体重3.0kgもあるサクラマスが夏を越せる深くて冷たい淵と、堰堤など遡上を阻害するものがなく、山奥まで遡上できる沢が、川に求められるのです。

サクラマスは遡河性(そかせい)の魚として、一番山奥の浅い場所まで必要とすることから、魚が棲むに適した川造りの指針に最適な魚といえるのです。

閑話休題
赤川の場合、河口から梵字川と大鳥川の合流点までが国交省管轄。梵字川と大鳥川は山形県の管轄。月山ダムは国で、荒沢ダムは山形県。八久和川ダムは東北電力の所有になっています。他には青龍寺川に取水している赤川頭首工は一応農政局(?)になっています。

今回の赤川自然再生事業には国交省、山形県(土木・砂防・内水面水産試験場など)、鶴岡市の他に関係各所、赤川漁協も含まれています。民間からはNPO鶴岡淡水魚夢童の会の岡部夏雄氏が参加しています。今回の赤川自然再生事業のキーマンは、岡部夏雄氏と赤川漁協でした。

岡部夏雄氏は赤川漁協組合員としてサクラマスの巻き網漁を昭和42年から行ってきて、自分たちが捕らえた1000尾を越すサクラマスの雌雄・全長・体重、場所、日付を、全て記録していたのです。これにより、どの淵に何尾潜んでいたのか、季節によりサクラマスは徐々に上流へ移動していることなどが分かり、赤川自然再生事業の貴重な指針資料になっています。

一方、肝心の赤川漁協は、国交省、山形県、鶴岡市の担当者を前にして、「赤川なんかサクラマスに適した川にはなってない。そんなことより、八沢川のラバー堰堤を撤去してほしい。」「鮎が棲みやすくするために、羽黒橋下流に石を置いてくれ。」などと爆弾発言したと聞きます。赤川漁協に遣る気がないことが判明し、山形県は赤川を見切り、富並川へ移るわけです。

国交省、山形県、鶴岡市が協力して赤川本流という幹と枝を何とかしようとしているのに、何故支流である八沢川の鮎に固執するのか、理解できません。


赤川自然再生事業


八沢川では、両岸護岸工事がどんどん進んでいます。その際、赤川漁協は「どんどん木を切ってくれ。鮎竿が引っ掛からなくなって、釣りやすくなる。」といい、反対運動はおこしませんでした。河原に葦原と木と淵が無くなれば、増水時に鮎が一気に下流へ落とされるのは明白です。石も無いんだから。ある時は重機で河床を掘削して鮎が休める淵を造りました。これは違法行為です。

自分たちで両岸護岸工事を歓迎しておきながら、鮎が釣れないだなんて、馬鹿です。両岸護岸工事前なら国道7号線大松庵さんの脇でも鮎は釣れたでしょうが、護岸工事が進んだ今では、鮎釣り&鮎生息に向いた流程は、数km有るか無いかです。

赤川自然再生事業


羽黒橋といえば菓子メーカーブルボンの工場がある辺りで、河口から僅か18km前後です。広い河川敷で長い鮎竿が引っ掛かる木もありませんが、“趣(おもむき)”もなく、あんな場所で釣りする人は稀。少なくとも県外から遠征してきた人は、釣果よりも何より気持ちのイイ釣り=“趣”を尊重しますから、竿はださないでしょう。

荒沢ダムが出来る以前は、鮎は大鳥集落を通り越し、泡滝ダムの所まで遡上していたそうです。梵字川と大鳥川の合流地点が河口から31km地点であり、泡滝ダムは更に20km以上も上流になりますから、今より約3倍ほど長い流程に鮎が生息していたことになります。

現在赤川で鮎釣りといえば、河口から21km地点の赤川ゴルフ場脇〜馬渡床止め工〜黒川橋付近、26km地点の水無川合流点が人気の釣り場になっています。

それなのに、何故河口から18km前後の羽黒橋にこわだるのか。赤川本流では国交省、山形県、鶴岡市が一致団結して魚のための川造りが進んでおり、河口から魚道の設置が進んで、第四床止め工や伊勢横内床止め工に魚道が出来てきました。斯様に魚のための川造りが進んでおり、魚道を設置するなど魚が往来できる流程を伸ばす努力をしています。鮎も上流をめざして生息域拡張を図ればいい事なのに、なぜ意固地になっているのか、理解できません。

山形県では、鮎釣りは一般に7月1日に解禁になります。最上川河口から小国川合流点まで33km、寒河江川合流点まで120km、朝日町上郷ダムまで155km。天然鮎が遡上しており解禁日から釣れます。赤川は・・・、赤川が釣れ出すのは8月に入ってから、お盆過ぎから本番と言われています。カマキリが鮎釣り区間で確認できないなど、まだまだ遡上がスムーズではありません。

海の漁師さんの規則では、鮭以外は、河口にどんなに近い場所に網を仕掛けても違法ではありません。そのため、サクラマスが遡上する春になると、赤川河口では、ルアーが届くような至近距離に刺し網が何枚も張られてしまいます。それに対して赤川漁協からは「あれは海だから、ウチらには関係ね。」と一笑されました。

『広報あか川』には赤川自然再生事業のことや芋川禁漁区のことは掲載されていません。結局は自分たちの釣り場を、釣れるようにしたいという、目先だけの発想と目的なんでしょう。赤川自然再生事業に協力しないならしないで結構ですが、足を引っ張るのだけは止めてほしいです。赤川を駄目にしているのは、赤川漁業協同組合なのです。



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この記事へのコメント
読ませていただきましたが正直、私にはちんぷんかんぷんで…。
ただ、人間どうしても目先の利益に惑わされるのかな~って。
さくらさんにジックリこういう話を聞いたら面白いだろうなって思います。
Posted by なみちゃん at 2007年09月02日 21:20
大変なんですね。すごい。
Posted by わっしー at 2007年09月02日 23:44
なみちゃん、
要するに、1人だけ足並みが揃わないということですね。

わっしーさん、
国・県・市と、管轄を越えて集うのはとても貴重なチャンスなんです。まして鶴岡市の合併により、赤川は源流から河口まで一つになったので、本来ならスムーズに事が運ぶはずなんですけど・・・。
Posted by さくら at 2007年09月03日 07:13
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