2007年08月02日
鮎と磯焼け
石のミネラル(成分?)が水に溶けるなんて考えられないのですが、地質学者さんに訊ねると、地下水や湧水がそうであるように、十分に考えられるそうです。
なるほど。
ということはですよ、何百年何千年と変わらぬ石と違い、100年保つのか疑わしいコンクリート護岸で被われた河川や海岸線では、自然界としては尋常ではない速度でコンクリート成分が溶けだしているわけで、海の中ではとんでもない事になっているのではないでしょうか。
庄内浜で一番古い地質は、由良の香頭ケ浜の黒い洗濯岩だと聞いたことがあります。平成8年4月11日、NPO鶴岡淡水魚夢童の会を主宰する岡部夏雄氏が、そこへ注ぐ小さな川で、クロヨシノボリを採捕しました。当時それは山形県で初確認であり同時に生息の北限を塗り替える大きな発見でした。こじつけ話しになりますが、クロヨシノボリが川の水の良さから香頭ケ浜の小さな川選んで遡上したと考えると、黒い洗濯岩は、ミネラルが豊富なのかもしれません。(^^;
さて、先日‘憧れの浄禅寺川’で紹介した松森胤安著『両羽博物図譜』の中には、『浄禅寺川に白玉鮎と稱する一魚品ありと云う。』という記述もあり、浄禅寺川=荒瀬川の上流には白玉川があるので、おそらく白玉川の鮎を指しているのでしょう。
上記画像には、【絵のその他注記:浄禅寺川に白玉鮎と稱する一魚品ありと云う。腹出、丈短く大なるも五、六寸に過ぎず。秋末に及びて稀に獲ることありと云う。其の腹膨張タナゴの如く、腹大肛門に至りて止む。】と書いてあります。
自己流に解釈すると、『浄禅寺川に白玉鮎と呼ばれる鮎が居るという。腹が出ており、サイズが小さく、大きくても15-18cmほど。秋の終わり頃に稀に獲ることがあるらしい。其の腹の出っ張り方は、タナゴのようで、腹の膨らみは肛門のところまで。』タナゴとは、ヤリタナゴを指すと思われ、分かり易く例えると、要するに白玉鮎は子持ちシシャモのような形をしていると説明しているわけです。
松森胤安は、白玉鮎を美味しいと言いたかったのか単にそういう魚がいると伝えたいのかは解りませんが、後者だと思います。メモ魔の松森胤安のことですから、浄禅寺川や福山川の鮎を届けてくれた人との雑談の中で、白玉鮎の話しがでたのでメモっただけでしょう。でも、喋った人も、食べて美味しかったらこそ話題として喋ったと思われ、白玉鮎は子持ち鮎として美味しかったんだと思います。
今回玉ねぎ石を求めて観音寺地区在住の相蘇さんと巡り会ったわけですが、『玉ねぎ石は、海底火山の場所にできる』との説明を聞いた時、『!!』と閃きました。化石床の説明文にも『潮の流れが速い、今で言えば入り江だったようです』と書かれており、白玉川周辺の山は、昔は海だったことになります。つまり、白玉川は海のミネラル分が豊富に溶け出しており、それで鮎の味が良かったのではないでしょうか。と同時に昔の人は、その味の違いを感じ取る味覚の舌を持っていたことになります。
今後環境問題意識が浸透して、堰堤に魚道が設置され、天然鮎が白玉川まで遡上できるようになったとき、白玉鮎は蘇る!かもしれませんね。
この記事をあだしなりに要約してみっど
アユは食ってもうんめってごどだ!
昔は海だった…。なんだか壮大ですね。
鮎を美味しくさせる水。
飲料用にしても美味しいのかなぁ。
白玉鮎を私も味わいたかったけど、釣れそうにありませんでした。お盆過ぎにまた行ってみます。
玉ねぎ石の崖の直ぐ下流に養殖池がありましたから、それで我慢しますか。(笑)