2010年02月18日
展示会場画像.2
その中に‘山形’というのが出回っていますが、何所の産出なのでしょう?
県外の方にとっては「山形」は山形であり山形県をさすのかもしれませんが
山形県民が「山形」と聞くと、通常なら山形市周辺をさします。
しかし桜草が自生しているのは「蔵王」であり、山形市とは言いません。
なので山形県民が自生地から採取してきて、県外の愛好者へ配布したなら
「山形」とは言わず、「蔵王」と言うと思います。
流布されている‘山形’という野生種は、本当に山形県産なんでしょうか。多いに疑問です。
一方で、展示会の写真を見てみると、同種を細かく分けて名札を立てているようです。
野生種とはいえ微妙な違いがあるようなので
細かく観察するあまりメモをつけくわえるようになり
メモ書きがいつのまにか品種名扱いになってしまうのでしょうか。
‘浮間五台紅’(うきまごだいこう)には作出者(黒田信男)がいて驚きです。
鳥居著「色分け花図鑑 桜草」158ページに‘浮間五台紅’が載っています。
『浮間ケ原の五台という所で見出された。大輪で濃い紅色が目立つ。』
と記載されていますから、黒田信男氏は発見者?ということでしょうか。
濃い紅色ということですが、色合いが違ってるような・・・。
下記に紹介してます濃紅色の‘尾久の輝’は、濃紅色に写ってます。
名札の裏にメモ書きらしきものがある鉢がありました。
‘仙台’は、宮城県全体をさして「仙台」と呼んでしまっている気がします。
宮城県では、さくらそうの自生地は北から南と広く点在しているので、
泉と宮城蔵王と船形山は違いますから、一概に‘仙台’とは呼べない気がします。
宮城県内の自生地の地名が名札に書かれるならともかく、
‘仙台○○’という園芸種扱いは、どうかと思います。
田島は田島のままのようです。
‘富岳’(ふがく)は野生種で、地名が品種名になっていると思ったのですが、
浪華さくらそう会誌40号(平成17年度版)『日本桜草総銘鑑(最新版)』のコピーを見てビックリ。
作出者が居ました。‘高根の雪’ ‘初姿’ ‘越路の春’などを作出した高木勇氏の作出でした。
‘筑紫の光’という如何にも桜草らしい品種名ですが、
『日本桜草総銘鑑(最新版)』のコピーには載っていませんでした。
野生種に誰かが勝手に命名したのでしょうか。
‘尾久の輝’は、『日本桜草総銘鑑(最新版)』のコピーをみますと、
東京のさくらそう会の重鎮、宮本米吉氏の作出でした。
‘尾久の輝’:濃紅色 桜弁浅抱咲 宮本米吉
‘尾久の光’:深紅 桜弁平咲き 宮本米吉 埼玉さくらそう会誌
‘雪の手紙’:鑼弁浅抱咲 宮本米吉 埼玉さくらそう会誌。
下記の画像をみたときには、名札のさし間違いかと考えていたのですが
『日本桜草総銘鑑(最新版)』のコピーにはキチンと載っていました(すごいです!)
これも宮本米吉氏の作出でしたが、パッと見た目、いずれの品種にも大きな個性を感じません。
このような違いに何でもかんでも命名してしまう行為は如何なものかと思いますが
鈴鹿冬三著「日本サクラソウ」122ページには永井誠也氏が約600種を作出命名した旨が書かれており
実生が大変困難な時代、まだ閉鎖的な世界においては新しい花は作るしか入手の手段はなく
僅かな違いを見出すのも難しく、全てを命名して愛でていたのでしょうね。
‘桶川かがり’という野生種があるそうです。
桶川の野生種の中から突然変異で発生したかがり弁のものだそうです。
桶川の野生種も‘桶川かがり’も見たことはありませんが、
かがり弁の野生種らしき画像なら展示会場の画像の中にありました。
‘錦ケ原’:桜弁平車咲き 山野草(趣味の山野草?)
野生種なら‘岩木山’ ‘久住山’ のように産地を品名代わりにすべきで、それで十分な意義があり
野生種に僅かな差異をみつけて新種扱いして命名作出発表するのは、功名心に駆られた良くない風潮だと思います。
‘佐保姫’も、野生種にしか思えません。
『日本桜草総銘鑑(最新版)』のコピーに‘佐保姫’は載っていませんが、『佐保』つながりは3品種載っていました。
‘佐保の里’
‘佐保鹿’:絞り 切弁 桜草百種
‘佐保の月’:埼玉さくらそう会
「『佐保』は埼玉県に所縁があるのかな?」と思い、web検索。
『佐保』と入力したところ、『佐保姫』と出ました。見てみてビックリ。
春の女神、佐保姫です。 秋の女神竜田姫が竜田山の祭神なら、
佐保姫は同じ奈良にある佐保山の祭神と云われています。
最後に、『さくらそう』という呼び方ですが、
私は『日本さくらそう』と呼んでいただきたいです。
メダカは絶滅危惧種ですが、メダカと呼んで良いのは通称黒メダカと呼ばれている野生のメダカだけです。
白メダカ、青メダカ、ピンクメダカ、ヒメダカ、楊貴妃などもメダカですが、
絶滅危惧種のメダカではなく、観賞用の日本のメダカです。
『さくらそう』も、野生の『さくらそう』があり、園芸愛好家には‘野生種’と呼ばれています。
一方園芸愛好家が『さくらそう』と呼べと主張するさくらそうは、園芸品種が主です。
古典園芸とはいえ、人為的に作り上げた品種ですから、日本の『さくらそう』。
表記は漢字だろうとカタカナだろうと気にしませんが、『日本さくらそう』が正しいと考えます。
真鯛でもハマチでも鮎でも、どうして天然物が
わざわざ「天然の真鯛」「天然のハマチ」「天然の鮎」と主張しないといけないのでしょう。
養殖物が「養殖の真鯛」「養殖のハマチ」「養殖の鮎」と表記されるべきです。
野生の『さくらそう』が‘野生種’で、園芸品種がどうして『さくらそう』なのでしょう。
日本の『さくらそう』である園芸品種は、『日本さくらそう』と名乗れば良いのです。
上記のことは、正直どうでもいい話しですが、
『日本さくらそう』と呼ぶのは間違いである。という方々が居るもので、
園芸品種愛好家に言われたくはないと感じていたので、最後に書いてみました。
ホントどうでもいい話しですが・・・。
古典園芸の品種名にはひらがな表記が似合っていると感じますが、
図鑑の標準和名は全てカタカナ表記なので、
学術的には‘サクラソウ’とカタカナ表記が正しいと言えるのかもしれません。
私も注意しなければと気を引き締めるのですが、我が家で栽培中の品種にも、合っているのか間違っているのか判断が付かないものも存在する有様で、我ながら情けない限りです。
話題が被ってしまいましたが、準備しておいたネタをアップしました。
同定の難しさは理解できますし、栽培数が多いと芽の取り間違いや名札の差し間違いも十分起こりうると理解しますよ。でも花が咲けば、白花や赤花といった花色、花弁、花形の大枠での見分けは可能ですし、何より愛好会のお仲間がお居れるわけですから、ちょっと声かけあえば訂正できる間違いも多い気がします。でも、そこまで気にしながら育てるのも大変なのでしょうね。
コメントいただき、ありがとうございます。
‘プリムラ’というところから考えると解る気がしました。野生種をカタカナ、園芸種をひらがな表記とされたことに納得できました。今回ご教授くださり勉強になりました。ありがとうございます。
でも実際自分が使うとなると使い分けが出来ずにいます。当分の間は漢字だったりひらがなだったりカタカナだったりすると思いますが、悪しからずお許しください。