2010年02月12日

今更ですが.21

「“今更ですが”、園芸品種のことについて、勉強し始めました」
という意味で始まったタイトルシリーズでしたが、
いつのまにか『今更ながら』に変わってしまってました。kao19
これも鳥居著「色分け花図鑑 桜草」の呆れた内容のせいで、本心が成し得た事でしょう。

サクラソウ127園芸品種の葉緑体DNA型(ハプロタイプ)『品種識別、親子関係、由来に関する情報』
最後となったハプロタイプ γは、61品種もあるので、数回に分けて記していきたいと思います。
今回は最後。2倍体の長花柱花8品種を掲載します。

此処まで長かった。
今回は「陽炎」「富士越」がそうでしたが、鳥居氏の呆れる記述に出遭ってしまうと、唖然愕然気力が萎えるんです。
web上にはさくらそう愛好者のHPやBlogがあり、
その内の大多数が鳥居著「色分け花図鑑 桜草」を参考に、品種の同定を行い品種名や解説文を載せています。
その影響力の大きさは驚異的ですが、誰が此処まで根拠もないデタラメが綴られていると気づいていることでしょう。
ウソ八百が真しやかに浸透してしい、古典園芸であるさくらそう栽培の現在と未来が犯されているという現実に、危機感を禁じえません。
鳥居氏は「色分け花図鑑 桜草」を回収廃盤として、
現在と将来のさくらそう園芸の文化を危険に晒している東京のさくらそう会は、解散すべできです。
東京のさくらそう会の会員の方々も、何も感じず何もせず、ただ栽培を楽しむだけでは同罪ですよ。
将来のさくらそう園芸のためにも、会員として何かしら行動をおこして誠意を見せてくださることを、望みます。

日本桜草守の独り言
2006年02月24日『『色分け花図鑑 桜草』紹介』 〔山原 茂〕
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陽炎 γ 2倍体 長花柱花 明治? 「明石潟」「明月」現存品と同品
(鈴鹿147ページ「陽炎」:表白裏薄鴇色のややかがり弁、弁幅がやや細く、やや抱え咲きです。江戸時代の作出といわれます。)
(鳥居137ページ「陽炎」:僅長柱花 明治中期か 類似品種「十六夜」。
 十六夜を陽炎として育てている人が多く、真物はたいへん少ない。明石潟、名月の名で栽培されているものは同じ物と考えている。)

(鈴鹿147ページ「明月」:表白裏藤色の切弁抱え咲大輪の実に上品な花で、花つきはよいが繁殖力は弱いです。
 謡曲からとった名前で、植松幹氏記載の「名月」とは異なります。)
(鈴鹿「明石潟」記載なし)
(鳥居当然「明石潟」「明月」の記載なし)

(鈴鹿151ページ「十六夜」:薄色系の代表的品種で文化年間からの名花の1つ。表白裏薄色の浅い切弁の大輪。)
(鳥居136ページ「十六夜」:長柱花 昭和前期か。類似品種「陽炎」
 明治時代の『櫻草銘鑑』の十六夜とは違い、この花はかがり弁であり、その後に生まれたものと思われる。)

鳥居氏と東京のさくらそう会が行っている認定制度は酷過ぎる!!
古典園芸である桜草なのに、明治時代の『櫻草銘鑑』の「十六夜」とは違う品種を「十六夜」として認定しておきながら
『「十六夜」を「陽炎」として育てている人が多い』と言い、『「陽炎」は「明石潟」「明月」と同品種』と主張している。
もう滅茶苦茶である。

鳥居氏の解説文からは「名月」と「明月」は同品種とも読み取れ、
大城氏は『「明石潟」「明月」現存品と同品』と記載しており、鳥居氏の意見だと思われる。
鈴鹿著『日本サクラソウ』昭和51年第1刷発行には、『「明月」と植松幹氏記載の「名月」とは異なる』と記載されており
鳥居著「さくらそう」1985年、「色分け花図鑑 桜草」2006年で、同品種とした根拠を示すべきだ。

web上に「明石潟」「明月」「名月」の画像なし。

今更ですが.21


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雪の肌 γ 2倍体 長花柱花 明治?
(鈴鹿149ページ「雪の肌」:
 だれの作出かは不明ですが、大正15年5月、日比谷公園桜草展の出品花中にあります(昭和2年4月発行、『和洋桜草の栽培』に記載)。
 また、昭和15年発行の農業世界11月号付録『桜草の作り方』に、白色系の優秀花8品種の中に、この名が出ています。)
(鳥居66ページ「雪の肌」:長柱花 大正時代 類似品種掲載なし。)

鳥居氏は根拠もしめさず身勝手な独自の判断で同定して無理矢理まとめようとするが
図鑑と銘打っているのだから、鈴鹿氏のように、調べた事を素直に掲載するだけで十分ではないか。
作出年代にしても、鳥居氏は根拠を示さず表記しているが、鈴鹿氏を読めば納得できる。

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綾波 γ 2倍体 長花柱花 明治
(鈴鹿「綾浪」:表白裏薄色中輪。)
(鳥居136ページ「綾波」:僅長柱花 明治中期か 類似品種「銀孔雀」。
 このような淡い紫桃色の微粉を流した霧のような花の色を、桜草では昔から薄色(うすいろ)と呼んできた。)

『今更ながら.16』「銀孔雀」に掲載済みなので割愛。
http://nihonsakurasou.n-da.jp/e131915.html

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富士越 γ 2倍体 長花柱花 明治 柴山政愛
(鈴鹿165ページ「富士越」:表底白ぼかし裏桃色地に白斑入り)
(鈴鹿120ページ「柴山政愛氏」(東大久保)先代からの熱心な栽培家で、江戸末期の連の一方の頭であり、草桜亭と号した。
 約150-160品種を栽培。有名な「富士越」は同家の秘蔵品であった。

(鳥居90ページ「富士越」:長柱花 明治後期柴山政愛発表 類似品種「月の宴」。
 昭和40(1965)年頃までは最大輪花であった。この花が広まったのは1952年にさくらそう会が発足して、苗の配布に努めたことによる。
 最大輪花でありながら、花の表に色がにじむために、最高の評価はないが、人気は高く、大きすぎるという評もあった。
 なお、この富士越は実は二代目で、初代が枯れたのちに、再び命名されたものである。)

鳥居氏の自己顕示欲の強さが発揮された解説文となっている。
江戸末期の連の一方の頭の秘蔵品「富士越」なら、東京のさくらそう会の尽力と広言することではあるまい。
図鑑と銘打った書籍であるなら、鈴鹿氏のように、その品種の背景を記載すべきである。
江戸末期の連の一方の頭の秘蔵品を批評する駄文は不必要。

『実は二代目で、初代が枯れたのちに、再び命名されたものである』なら、
東京のさくらそう会は別品種に由緒ある品種名を命名して配布。偽品種を流布しているということになる。
東京のさくらそう会は、既成品種の品種名を偽った品種を認定。偽装品種を正統化して流通させている!?

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三田自慢 γ 2倍体 長花柱花 大正3年頃 伊集院兼知
(鈴鹿148ページ「三田自慢」:大正初期、東京三田の伊集院兼知氏の作出命名。)
(鳥居121ページ「三田自慢」:僅長柱花 大正3(1914)年頃 伊集院兼知発表 類似品種記載なし。)

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瑤台の夢 γ 2倍体 長花柱花 大正7年頃 田村景福
(鈴鹿120ページ「田村景福氏」)
(鳥居「色分け図鑑桜草」:大正7(1918)年頃 田村景福発表 類似品種「鈴の音」「真如の月」
 質としては良花だが、いわゆる芸がとぼしい花なので、あまり評価されていない。瑤台では間違い。)

駄文が多過ぎて中味の無い解説文。記載する必要はない。
鳥居氏は自己顕示欲が強く、自分が売り込みたい品種以外は、とことん蔑む性格の方のようだ。
作出年代を東京のさくらそう会認定年代にしていないのが、幸いである。

『今更ながら.13』「鈴の音」に記載済み。
http://nihonsakurasou.n-da.jp/e130861.html

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紫宸殿 γ 2倍体 長花柱花 昭和57年 中村長次郎 「手中の玉」の実生
(鈴鹿147ページ「紫宸殿」:浪華さくらそう会幹事中村長次郎氏の作出命名。昭和43年播種、45年に選出されたものです。親は「手中の玉」。)
(鈴鹿147ページ「手中の玉」:花孔雀とは同品種と考えます。)
(鈴鹿158ページ「花孔雀」:大正年間に田村景福氏作出の「手中の玉」と同品と考える。)
(鳥居125ページ「紫宸殿」:1982年認定 中村次郎長発表)

作出者も作出年代も判明しているのに、此処でも東京のさくらそう会が品種認定した年代を記載している。
東京のさくらそう会の発足主旨と違った行為に、会員は何とも感じないのだろうか。非常に情けない。悲しい事である。

『今更ながら.14』「花孔雀」で記載済み。
http://nihonsakurasou.n-da.jp/e131188.html

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高根の雪 γ 2倍体 長花柱花 昭和57年 高木勇
(鈴鹿140ページ「高根の雪」昭和四十二年選出)
(鳥居68ページ「高根の雪」:僅長柱花 1982年高木勇発表 類似品種記載なし。)

作出者も作出年代も判明しているのに、此処でも東京のさくらそう会が品種認定した年代を記載している。
図鑑と銘打った書籍の中で、作出年代の項を偽装する行為といえる。
東京のさくらそう会には偽装工作する体質があり、
東京のさくらそう会の会員には、それを容認する習慣があるのだろうか。
鳥居氏と東京のさくらそう会の、古典園芸であるさくらそう栽培の歴史と経緯を蔑ろにする行為は断じて許されるべきことではない。

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