2010年02月11日

今更ですが.19

サクラソウ127園芸品種の葉緑体DNA型(ハプロタイプ)『品種識別、親子関係、由来に関する情報』
最後となったハプロタイプ γ は、61品種もあるので、数回に分けて記していきたいと思います。
まずは2倍体の短花柱花と等花柱花10品種を掲載します。

西王母   2倍体 短花柱花 江戸後期 (天保)
一念力   2倍体 短花柱花 江戸後期?
通小町   2倍体 短花柱花 江戸後期
天が下   2倍体 短花柱花 明治
人丸    2倍体 短花柱花 明治後期 溝口正直
初桜    2倍体 短花柱花 昭和30年 高木勇 自然に結実
春裳    2倍体 短花柱花 昭和56年 峰岸優
白鷹    2倍体 短花柱花 昭和57年
唐縮緬   2倍体 等花柱花 江戸後期
初姿    2倍体 等花柱花 昭和30年 高木勇 昭和20年以降にできた実生新花第1号。自然に結実。

ハプロタイプ γ
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西王母 γ 2倍体 短花柱花 江戸後期 (天保)
(鈴鹿144・164ページ「西王母」桃色内曙白狂咲大輪)
(鳥居81ページ「西王母」:短柱花 江戸末期 類似品種記載なし。)

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一念力 γ 2倍体 短花柱花 江戸後期?
(鈴鹿160ページ「一念力」紅表白曙白大輪)
(鳥居74ページ「一念力」:短柱花 江戸末期 類似品種記載なし。
 江戸時代の桜草の姿をよく残している。たいせつに伝えたい品種だが、注目する人が少ない。)

『江戸時代の桜草の姿』とは、鳥居氏の主観でしかないのだろうが、何を基準にどういうのを言っているのか分らない。
『注目する人が少ない』ということはないだろう。愛好者のHPやBlog、園芸店の通販でもよくみかける普及品種に思える。

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通小町 γ 2倍体 短花柱花 江戸後期
(鈴鹿162ページ「通小町」薄色表白大輪)
(鳥居129ページ「通小町」:短柱花 明治後期か 類似品種「藤娘」「艶姿」。)
(鈴鹿166ページ「藤娘」表白裏薄藤色大輪)
(鳥居132ページ「藤娘」類似品種記載なし:過去には「通小町」を「藤娘」として栽培する人が多かったが、最近はほとんどないようである。)

大城氏と鳥居氏では、作出年代に差がありますね。

今更ですが.19


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天が下 γ 2倍体 短花柱花 明治
(鈴鹿159ページ「天ケ下」桃色内白狂咲)
(鳥居73ページ「天が下」:短柱花 明治後期 類似品種掲載なし。)

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人丸 γ 2倍体 短花柱花 明治後期 溝口正直
(鈴鹿165ページ「人丸」桃色最大輪)
(鳥居89ページ「人丸」:短柱花 明治38(1905)年溝口正直発表 類似品種「槙の尾」。
 はじめは折紙道具の名称で呼ばれた。現在の人丸となったいきさつは不明である。)

これが本当の解説文ですよ。(^^)
鳥居氏と東京のさくらそう会が、いきさつ不明を理由にして、原名に戻して品種認定しなかったのは幸いでした。

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初桜 γ 2倍体 短花柱花 昭和30年 高木勇 自然に結実
(鈴鹿165ページ「初桜」裏桃色表曙白。)
(鳥居100ページ「初桜」:短柱花 大正年間 永井誠也発表 類似品種「花車」。花弁は桃色、表は曙白。)

今更ですが.19


鳥居著「色分け花図鑑 桜草ー名前の由来と品種がわかるー」で、「初桜」は『大正年間 永井誠也発表』だが
大城氏には『昭和30年 高木勇 自然に結実』と記載されている。
鈴鹿著「日本サクラソウ」では、122ページ『大正時代以降のサクラソウ愛好者』の項に、
永井誠也氏の名前が記載されているのみで、永井誠也氏の作出品種が記載されていないのが残念。
鈴鹿著「日本サクラソウ」140ページ『戦後(昭和20年以降)に作出された新花の紹介』の項に高木勇氏が紹介されているが、
「初姿」は記載されてあるが、「初桜」の記述はない。

今更ですが.19

改めて大城氏の『品種識別、親子関係、由来に関する情報』をチェックしてみると
http:/www.nourin.tsukuba.ac.jp/sakurasou/data/type.pdf
「初姿 γ 2倍体 等花柱花 昭和30年 高木勇 昭和20年以降にできた実生新花第1号。自然に結実。」と在りました。
(鈴鹿140ページ『高木勇氏の作出』「初姿」表白裏薄紅紫のつかみ垂れ咲大輪。)
(鳥居86ページ「初姿」同長花 1955年 高木勇発表 類似品種記載なし。
 昭和30年、戦後に発表された実生新花の第一号。)

webで検索してみましたが情報が無く、「初桜」の作出者が高木勇氏か永井誠也氏か、私には分りませんでした。
鳥居氏が色々述べておられますが、「初桜」に同名異種が存在するようでもあり、解読できません。

(鈴鹿「初鳥」掲載無し)
(鳥居42ページ「初鳥」類似品種 こぼれ紅。
 かつてはこれが初桜の名で存在したが、この品種は別に本物があり、記録を調べて「初桜(100ページ)」に相当するこが判明した。)
(鳥居87ページ「花車」類似品種「初桜」)
(鳥居51ページ「こぼれ紅」類似品種「初鳥」)

今更ですが.19

今更ですが.19


【 浪華さくらそう会長山原氏の『今更ながら.16』のコメントより抜粋。】
「初桜」は鈴鹿さんの『素人日本さくらそう』(ひかりのくに)には‘作出者は知らない’とあります。
鳥居氏の言う通りかも知れませんが、出典は知れません。

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春裳 γ 2倍体 短花柱花 昭和56年峰岸優
(鈴鹿141ページ「春裳」:著者も栽培しているが、まだ花をみていない。)
(鳥居46ページ「春裳」:短柱花 1982年認定 峰岸優発表 類似品種「春告鳥」)

(鈴鹿140ページ「春告鳥」:尾崎康一氏の作出。)
(鳥居46ページ「春告鳥」:僅長柱花 1982年認定 尾崎康一発表 類似品種「春裳」)

鈴鹿著「日本サクラソウ」は昭和51年(1976年)第1刷発行。
「春裳」「春告鳥」の具体的な作出年代は知りませんが、
東京のさくらそう会認定年代を作出年代として表記するのは、
作出者の峰岸優氏と尾崎康一氏に対して失礼な話しである。

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白鷹 γ 2倍体 短花柱花 昭和57年
(鈴鹿「白鷹」記載なし)
(鳥居68ページ「白鷹」:短柱花 昭和前期か。類似品種記載なし。
 白鷲に似るが、花は少し小型で、花茎も低く、普通の2倍体である。
 白鷲、白鷹として伝わっていたものは、同じ品種であったので、これは白鷲に統一したが、
 白鷲とされたなかに、別品があることを発見し、これに白鷹の名を復活させたのが、現在の品種である。)

鳥居氏と東京のさくらそう会は身勝手な独自の判断で「白鷲」「白鷹」を同品種と認定してしまったが
違いに気づき「白鷹」の名を復活できたのは幸いであった。
古典園芸の歴史を無視した身勝手で独自な判断の危険さを露呈した例といえよう。
作出年代は、大城氏は「昭和57年」で、鳥居氏が「昭和前期か」となっている。
鳥居著「さくらそう」1985年で鳥居氏は「昭和57年東京のさくらそう会認定」とでも記載しているのかもしれない。

「白鷲」「白鷹」を同品種と誤って認定しておきながら、『類似品種記載なし』とは、滑稽である。

今更ですが.19


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唐縮緬 γ 2倍体 等花柱花 江戸後期
(鈴鹿154ページ「唐縮緬」:花付きよく性質も強い。)
(鳥居31ページ「唐縮緬」:同長柱 江戸末期 類似品種「紅天鳴鶴」「東鏡」。
 芽はよくふえるが、肥培しないとよく花が咲かず、栽培の力量がためされる品種。)

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初姿 γ 2倍体 等花柱花 昭和30年 高木勇 昭和20年以降にできた実生新花第1号。自然に結実。
(鈴鹿140ページ『高木勇氏の作出』「初姿」表白裏薄紅紫のつかみ垂れ咲大輪。)
(鳥居86ページ「初姿」同長花 1955年 高木勇発表 類似品種記載なし。
 昭和30年、戦後に発表された実生新花の第一号。)

上記「初桜」の項に記したので割愛。
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