2007年05月28日

余目町家根合メダカ保全池

余目町の家根合地区は、以前は庄内地方最後の素堀の用水路地帯として、メダカなど多くの魚種がたくさん生息していました。しかし、ほ場整備事業に因り素堀の用水路が無くなる事になり、それを機に‘保全池’を造る計画が持ち上がりました。最初に落合地区にメダカ保全池が出来ると、家根合地区の人は、『落合地区に負けない、立派なメダカ保全池を造れ!』と言い出しました。

メダカの生息環境に石積みは要らないと進言されても取り合わず、ゴネてゴネて事業に影響するまでゴネ続けました。そうして出来上がったのが、今の家根合メダカ保全池です。『落合地区に負けたくない』一心で、メダカを出汁に利用して、菩提寺に似合う日本庭園を造ったのです。Googleで『家根合 保全池』と検索してみてください。事業計画はメダカ保全池ではないのです。「生態系保全型水田整備推進事業」「生態系保全池」なんです。


余目町家根合メダカ保全池


家根合地区が庄内地方最後の素堀の用水路地帯として、なにゆえ「生態系保全型水田整備推進事業」が設けられたかと言えば、素堀の用水路(田んぼ)が育む生態系の多様さがあったからです。今の田んぼの用水路は、水道と同じで配管が敷設され、バルブを開いて田んぼに水を入れます。用水路は三面コンクリート張り。川から水を引き込むと、各ポンプ場(揚水機場と排水機場)を経由して水を回し、最後は川へ放水されます。そのため、昔のように魚が用水路に棲むことができなくなっています。でも家根合地区には、その環境が残っていた。だから「生態系保全型水田整備推進事業」が起きたのです。

当初は、水と一緒に用水路に入り込んだ魚を全て保全池に集め、育み、自由に出ていけるような「生態系保全池」を造る計画でした。


余目町家根合メダカ保全池


ところが家根合地区は、サイフォン効果を利用して一部の水だけを取り込み、水路と池の高低差を利用して、あたかも噴水の如く取水方法を取りました。これでは保全池に魚が入って来られません。排水方法も同じサイフォン式にしてしまい、魚が池の外に出ることは出来ません。このように魚の生態系を全く無視した構造を採用し、日本庭園を造っしまったのです。


余目町家根合メダカ保全池


余目町家根合メダカ保全池


最上川は大きな川です。大きな川は、小さな魚の稚魚が棲むに適した場所ではありません。素堀の用水路は小さな魚の稚魚が棲むに適した場所でした。それを補い育む計画が「生態系保全池」でした。しかし、「生態系保全池」に稚魚は入ることが出来ず、入ったとしても出ることが出来ないのです。メダカを自然保護のシンボルに祭り上げた結果、家根合地区全部の魚を見殺しにしてしまっているのです。

生き物を慈しみ、何か遣ってやろうという気持ちは大切ですが、本質を捉えていないと、なんの役にも立ちません。また、物事の表面だけ捉えて闇雲に褒めるのも止めましょう。

物事を悪くいう言動は、今の日本社会では蔑むべき悪い行為でしょうけど、なんでも褒めるだけも良くないと思います。なにより子供の将来が不安です。駄目なものは駄目なんです。敢えて書かせてもらいました。こういう誤った見解を是正できたらよいのですが、時間が掛かるでしょうね。

みなさんは、童謡『春の小川』や『めだかの学校』をご存じですか?
メダカは池や沼の魚ではありません。流れのある場所に生息しています。昔の人は、チキンとした見識を持ってたんですね。


タグ :メダカ

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Posted by さくら at 17:06│Comments(2)その他07
この記事へのコメント
[さくら]さん、こんばんは。
「鵜」の話がきっかけでバックナンバーを読ませてもらいました。
考えさせられますね。
全てが、「合理性、ムダの排除」優先で進んでますもんね。
人間がどう「自然」を変えても、それもまた[自然]なんでしょうけど、
他の生き物を犠牲にすることがどこまで許されるのか???
Posted by bin at 2007年05月30日 20:47
binさん
時代の流れなので仕方ないことですが、集落の自治会長さんや漁協の組合長・理事など、みなさん高齢化してしまい、頭が固い方が多いのが現状です。でも、みなさん自覚はあるんですよ。あるからこそ、何か後世に残したいと努められるのです。

物事は一回で完璧に出来ることは稀でしょうから、これらの経験を活かして、徐々に良い物へ作り替えて行けば良いのです。今は保全池ですが、将来的には採っても捕ってもメダカが居なくならないような環境ができたら最高ですね。あの取水口を壊して排水溝を改善して、葦原を自生させて・・・。(笑)

そもそも灌漑用水路なのに、事業内容以外の予算を設けて、このような施設を造ってくれた農村整備は素晴らしいことであり、本来はこちらを取り上げ褒めるべきなんですが、ヘソ曲がりですみません。(^^;
Posted by さくら at 2007年05月31日 11:00
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