2007年09月28日

今日のNHK山形

今日9月28日(金)、NHK山形で午後6:10〜午後6:52(42分)放映している‘やまがたニュースアイ’の『庄内スペシャル』は、『サクラマスの増殖事業の取り組み』だそうです。たぶん18:23頃から5分間の放映かと思われます。また夜20:49頃にも放映しているようです。子細不明ですが、池産から遡上系への切り替えの話題かと思われ、放送が楽しみです。

で、今日の私のネタは、NHK山形さんのタイトルを真似て『サクラマスの増殖事業の取り組み』にしてみました。山形新聞社8大事業の一つ『最上川200キロを歩く』の今年の新聞掲載記事に掲載された“サクラマス豆知識”を読んでから、県の取り組みに矛盾を感じ、今日までずっと考えていたことを綴らせてもらいます。

山形新聞社8大事業の一つ『最上川200キロを歩く』の今年の新聞掲載記事に、サクラマス豆知識が掲載されていました。第一週目のゲストティーチャーに『県内水面水産試験場研究員河内正行さん』がいるので、県内水面水産試験場から教えてもらって書いたのだと推察しています。

その『サクラマス豆知識』は、山形新聞のHPにある『最上川200キロを歩く』の中でみることができます。
http://www.yamagata-np.jp/media/mogamigawa_walk/index.html




“サクラマス豆知識”より抜粋
・第1週目から抜粋
1. 生態
ふ化から約1年半後の3—5月ごろ、集団で海に向かう。
・第5週目から抜粋
5. 越冬期
ふ化から約1年が経過した11月ごろになると、河川の水温が低下。稚魚は深いふち、石の下、植物群落の根元など流速が毎秒6センチ以下の地点に移動し、冬に備える。3月ごろまでの河川環境は、稚魚にとって非常に厳しい。春を迎えることなく体力が尽きてしまう個体は、相当数に上るとみられている。
・第7週目から抜粋
7. 降海期
誕生から2回目の春を迎えると、体長11センチを超すような大型の個体は、単独で海を目指す。時期は4月中旬から5月上旬ごろ。
海に出た個体は、海水に体を慣らすため、しばらく沿岸域で生活、稚魚やアミ類を捕食する。水温が15度前後に上昇すると、離岸して北上を開始。個体差はあるが、山形県の場合、離岸するのは5月から6月ごろとみられる。
・第11週目から抜粋
11. 県の取り組み
近年は県が生産した種苗を各漁協が購入し、年間50万−100万尾を県内の各河川に放流している。回帰率は稚魚が0.3%、スモルトが1%とされている。

以上を要約すると、
体長11センチを超すような大型の個体は、3—5月ごろ(4月中旬から5月上旬ごろ)、集団または単独でで海に向かう。11月ごろになると、稚魚は流速が毎秒6センチ以下の地点に移動し、冬に備える。3月ごろまでの河川環境は、非常に厳しく、相当数が春を迎えることなく体力が尽きてしまう。
と県内水面水産試験場はみているわけですね。

此処で納得できないことがあります。サクラマスの稚魚は、3—5月ごろ(4月中旬から5月上旬ごろ)に海へ向かうと解明されていながら、どうして一斉に稚魚放流を行わないのでしょう。また、海へ出た稚魚は、5月から6月ごろには北の海へ旅立つというのに、5月から6月ごろに各地で稚魚放流を行なって、成果あるのでしょうか。例えば、今年は赤川花火大会の時にサクラマスの稚魚放流が行われました。

一番酷いと感じているのは、県内釣り愛好者が11月に赤川に架かる羽黒橋下流で放流することです。羽黒橋の下流というのは、越冬場所や餌はどうなんでしょう。海にも近く、冬に海へ降りても、餌があるとは思えないし・・・。

山形県は、朝日町の古寺の孵化場から遊佐の孵化場へサクラマスの稚魚を移動させるのが面倒、または遊佐の孵化場がいっぱいになったので余剰個体を県内釣り愛好者に購入してもらうことで、『県民からの要望がある事業」という実績作りに利用しているだけではないのか。そう勘ぐってしまいます。

養殖場で飼われていた個体が、突然11月の初冬に近い晩秋に川へ放たれて、生きていけるものかなあ・・・。


サクラマスの回帰率は稚魚が0.3%、スモルトが1%だそうですが、稚魚が下る3—5月ごろ(4月中旬から5月上旬ごろ)に一斉に放流していないのに、どうしてそんなことが言えるのでしょうか。

此処で、鮭とサクラマスの増殖事業を比べてみましょう。

鮭は、川へ戻ってくると梁場で一網打尽され、戻ってきた尾数を性別ごとに記録されます。そして春に全ての稚魚が一斉に川へ放流されます。幾ら放流して幾ら戻ってきたか、ハッキリ明白です。しかも、鮭は河口周辺の海に禁漁区間が設けられており、河口周辺の海で漁(採捕)が禁止されています。

ところが、サクラマスも鮭と同じ、海から川へ遡上してくる魚だというのに、河口周辺の海に禁漁区間が設けられておらず、河口から21gのスプーンをキャストして届いてしまう至近距離に、何枚も網が張られる時があります。これらは、禁止されていないから張って良いそうです。違法ではないから何枚張って良いそうです。

山形県は『サクラマスの増殖事業の取り組みを頑張っている』と言いながら、河口周辺の海での漁(採捕)のことは「あれは海の漁だから、うちらには関係ありません」と言って取り合ってくれません。そんな状態で‘サクラマスの回帰率’を語れるのでしょうか。こんな片手落ちの『サクラマスの増殖事業の取り組み』方は、ないと思いますよ。鮭と同様に、河口周辺の海での漁(採捕)を禁止してほしいです。

ちなみに、25-30年ほど前、鮭の回帰率を上げる試みとして、稚魚を大きく育ててから放流することになり、5月に入ってから放流していたそうです。その結果、稚魚は早い時期に放流した方が良いと判ったそうです。今は鮭の稚魚放流は2月の内に行っているようです。

また、早く海へ下らせた方が回帰率は良いという話しも、聞いたような気もします。『ええ、そうなの?!』と驚いた記憶があるんですよね。ところがサクラマスの方では、・・・長くなってスミマセン。

“山形県”には、ヤマメが居ない。
山形県内の川にヤマメは居ますが、サクラマスの雄と雌からサクラマスの稚魚を作り、海へ下ればサクラマス。川へ残れば、それがヤマメ。というのが、今の“山形県”の解釈。なので“山形県”には、ヤマメの種苗は無い。というのが正しい表現です。(^^;

県内に放流される個体は全部サクラマスの稚魚なんですが、「魚に川の匂いをおぼえさせるため」と称して、堰堤の上流にまでサクラマスの稚魚を放流します。『長く川に留まれば、川の匂いを覚えて回帰率があがる』んだそうです。この時も『ええ、そうなの?!』と驚いた記憶があります。『どっちが本当なんだよ』という意味で。

今までの事業実績と規模、全国的な取り組みを考えたら、前者(鮭)は信憑性ありますが、後者は大いに疑問です。堰堤の上流にまでサクラマスの稚魚を放流するのは、単に釣り人にヤマメを釣らせるためと勘ぐってしまいます。サクラマスをヤマメに回しているんですから、‘サクラマスの回帰率’は、此処でもおかしな数値になりますよね。
  


Posted by さくら at 07:43Comments(5)その他07サクラマス